- 履歴書に何を書けばいいのか、そもそも分からない
- 発達障害のことを履歴書に書くべきか悩んでいる
- 書こうとしても空欄ばかりで、うまく進まない
発達障害があると、履歴書の作成は「何を書くか」だけでなく「ちゃんと完成できるか」でも悩みやすいもの。集中力や作業のしづらさなど、見えないハードルを抱える人は少なくありません。

私も書き間違えで、紙を何枚も無駄にしたことがあるよ。




この記事では、発達障害のある方に向けて、履歴書の基本的な書き方や注意点を具体的にまとめました。
発達障害がある方特有の「書けない悩み」を減らすための工夫や、求人に合わせた「書かない判断」も紹介。自分の特性に合った対策を立てることで、履歴書作りの負担を大きく減らせます。
- 履歴書を頑張って書いても不安が残る
- ミスが多くて完成する前に疲れてしまう
そんな方は本記事を、ぜひ最後までお読みください。
発達障害者の履歴書作り|基本の構成と考え方


履歴書は就職や転職活動において、最も基本的な応募書類。応募先の企業があなたの人物像をつかむための、「最初の資料」になります。
企業にとって履歴書は、応募者の学歴や職歴、取得資格、志望動機のほか、希望する勤務形態や就業場所といった基本情報を確認するための書類となります。
引用:マイナビエージェント
発達障害がある方でも、オープン・クローズに関わらず、履歴書の構成や書く内容は基本的に同じです。
- 履歴書の基本構成はオープン・クローズでも共通
- クローズ就労では発達障害を履歴書に書かない
- 履歴書はベースを作っておくと効率的



障害者雇用だから特別な書き方、とかは無いよ!
履歴書の基本構成はオープン・クローズでも共通
履歴書の書き方は、障害の開示・非開示に関係なく基本的に同じ。応募する求人によって、構成や使うフォーマットを変えなくても問題ないです。
履歴書で企業に伝えるのは、氏名・住所・連絡先・学歴・職歴・資格などの基本情報。オープン就労でもクローズ就労でも変わりません。
書ききれない内容は無理に履歴書へ詰め込まず、職務経歴書などを使って補足しましょう。
障害の情報を開示する場合は、「本人希望記入欄」などを使って簡潔に記載してください。
クローズ就労では発達障害の情報を書かない
クローズ就労(障害を開示しない働き方)の場合、履歴書に発達障害のことは記載しません。
当事者から障害を開示した場合に、企業は配慮事項を検討します。開示しないと決めた場合は、履歴書にも発達障害のことは書かないようにしましょう。
労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならず
引用:厚生労働省
ただし障害を開示しない場合、障害が関係する職歴のブランク(空白期間)は、伝え方を事前に考える必要があります。
- 就労移行支援への通所
- 二次障害による休養期間
- 短期離職・転職の繰り返し
クローズ就労を選ぶ場合は、オープン就労以上に「何をどこまで、どう伝えるか?」を考えながら進めましょう。
履歴書はベースを作っておくと効率的
履歴書を書く際は、あらかじめ「ベースとなる履歴書」を1枚用意するのがオススメです。
Excelやスプレッドシートに「氏名・住所・学歴・職歴」などの変わらない部分を入力済みにしておき、応募先ごとにシートをコピーして作ると効率的。「ベース」があれば、転職活動を中断・再開したときでも、動き出すまでの準備を最小限に抑えられます。
手書きの場合でも、うまく書けた履歴書をコピーして手元に残しておけば、参考資料として見ながら書き進められます。
毎回ゼロから履歴書を作るのは、時間も労力もかかります。発達障害の特性によって、集中力や作業スピードにムラがある人も多いです。
重要なのは「ベース=コピペで使い回す」ではなく、応募先ごとに丁寧に調整できる土台を作ること。特性による苦手感がある人ほど、最低限の労力で履歴書を作り上げる工夫をしましょう。
履歴書がうまく書けないときの工夫3つ
発達障害の特性によって、履歴書がうまく書けないという方は多いです。私自身も書き損じが多いタイプで、1社応募するのに紙を5枚以上無駄にした経験があります。
文字の「頭」が揃っていないと気が済まず、わざわざ鉛筆で線を書いて揃えたりしていました。



手書きできれいに書くのって本当に大変!
発達障害の私たちが抱えやすい、履歴書の「書けない」対策を3つ紹介します。
- 誤字脱字・紛失対策はデータ作成が有効
- 目移りする場合は情報のマスキングがオススメ
- 時間がかかる人はベース・見本を作って効率化
誤字脱字・紛失対策はデータ作成が有効
発達障害がある方が履歴書を書く際、誤字脱字や記入ミス、紙の紛失といったトラブルがよく起こります。
細部にこだわって書き直しが増えたり、直前まで書いていた紙が紛失したりと、履歴書を完成させるまでの負担が大きくなるケースは多いです。
履歴書作成の負担を減らすには、Excelやスプレッドシートなどのデータで作るのが特に有効。
- ミスや誤字脱字はリアルタイムで修正可能
- 書き損じによる紙の無駄遣いがない
- クラウド上に保存すれば紛失リスクなし
求人企業や転職エージェントから履歴書の提出を求められた場合、すぐに対応できるのもメリットのひとつ。ファイル名に応募企業の名前を入れておけば、選考が進んだときに見直しやすくなります。
私自身、以前は手書きの履歴書で失敗を繰り返していました。一枚完成させるために紙を5枚以上も消費し、鉛筆の下書きを消して書類がシワシワになったこともあります。
データ作成に切り替えてからは負担が激減。1社あたりの作成時間が大幅に短縮したうえ、手直しも保存・管理も手軽です。余った時間を面接対策や、他企業の検討などに回せるようになりました。



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最終的に自分に合う方法を選ぶことが大切ですが、個人的には「履歴書作りで困っている方こそ、データ作成を試してほしい」と思っています。
パソコンを持ってない方は、転職活動のためだけと割り切るなら2~3万円の格安パソコンでもOK。失敗できないストレスや、大量の書き損じ履歴書から解放されるなら、十分に元が取れます。
履歴書は「手書きの方が熱意や意欲を伝えられる」という意見もあります。しかし数値化しにくい「熱意・意欲」よりも、作成時間の短縮や余計なエネルギーロス対策の方が大切ではないか、と私は考えます。
履歴書のデータ作成について、具体的な方法は以下の記事をお読みください。



私も転職活動ではスプレッドシートで履歴書を作ったよ!
目移りする場合は情報のマスキングがオススメ
履歴書を手書きすると目移りがする場合、必要な部分以外を隠す「マスキング」がオススメです。
履歴書を手書きで作成していると、だんだん視界に入る情報量が増えてきます。後半になると履歴書が書いた情報で文字だらけになり、注意が散漫になる人もいるでしょう。
書き損じできない緊張感もあると、強い疲労感やミスの原因にもなります。目の前の作業に意識を集中するため、履歴書の一部を隠して書いてみましょう。
発達障害の特性のなかでも、視覚・注意のコントロールが苦手な人に特に有効です。目に入った情報を処理しようとするため、余計な情報が目に入るだけで集中力が削がれるケースもあります。
隠すものは紙や書籍、ふせんなど何でもOK。ただし、表紙がごちゃごちゃした書籍や、文字がたくさん入った紙は逆効果の場合もあります。
ご自身でいくつかのパターンを試してみて、使い勝手のいいものを利用しましょう。
隠し方は、作業しているブロック単位で区切ります。履歴書を半分に折ったうえで、作業する項目を残してマスキングしましょう。
- 上半分だけ残してマスキング
- 下半分だけ残してマスキング
- 文章欄だけ残してマスキング
例えば学歴・職歴欄を書くときは、上部にある「基本情報」の欄を隠します。
Excelやスプレッドシートを使ったデータ作成の場合は、「セルの非表示」機能を使うと表示情報を絞れます。


書き上げた履歴書のチェック作業でも、マスキングは有効です。書類全体からミスを探すよりも、ブロックごとに絞ってチェックしていく方が集中力を保ちやすくなるでしょう。



書いている途中で疲れやすい人は試してみてね!
時間がかかる人はベース・見本を作って効率化
履歴書作成に時間がかかってしまう人は、効率化のために「ベース・見本となる履歴書」を作りましょう。
考えながら書いたり、経歴を調べながら書いたりするのは、時間がかかる大きな原因。「考える↔書く」を往復するため、ミスも起こりやすくなります。
履歴書の大半は、どの応募先でも同じ内容を記載します。過去に作った履歴書をコピーして残しておけば、次回以降は見本を見ながら書くだけで済むので効率的。
「自分専用の完成例」を持っておくと、書く内容や書き方の表現で迷う負担が軽くなるでしょう。手書きの場合はワンミスで作り直しになるため、少しでも負担が軽くなる対策は必要です。
データで作成する場合も、「ベースデータ(サンプル)」を作っておくと便利です。スプレッドシートに入力済みの履歴書データを保存しておき、応募時はデータを複製すると時短になります。
以下は応募先によって書き換えが発生しにくいので、入力作業が丸ごと削減できます。
- 基本情報欄
- 学歴・職歴欄
- 本人希望記入欄
一方で、応募先に合わせて書き換える項目は、背景の色を一時的に変えておくのも効果的。手直しが必要な箇所を、視覚的に判断しやすくなります。
- 免許・資格欄
- 文章記入欄
複製データのタイトルに応募する会社名を入れておけば、送付間違いの対策にもなるでしょう。
経歴や資格が追加された場合は、ベースデータを書き換えるだけでOK。定期的にベースデータを更新しておけば、転職活動を中止・再開する際もすぐに動き出せる状態にできます。
応募先ごとに内容が変わる項目は、いきなり書き始めず、メモを作るところから始めましょう。
スマホのメモアプリや紙のメモに書くことを整理し、あとは書き写すだけの状態にしておくのが効率的。履歴書を書きながら考えるのは非効率で、ミスのもとにもなります。
「考える作業」と「書く作業」を分離させ、目の前のタスクに集中することが大切です。
履歴書作成時に気をつけること


履歴書で最も気をつけるのは、「減点を減らす」こと。履歴書はビジネス文書と見なされ、私たちの基本的なビジネスマナーや事務能力を確認されます。
採用担当に魅力を伝える役割は「職務経歴書」に任せ、履歴書では丁寧に必要な項目を埋めていく作業に集中しましょう。



応募書類にも役割分担があるよ!
誤字・脱字を防ぐ
履歴書の誤字・脱字を防ぐことは、書類の信頼性を確保するうえで重要です。集中力が途切れやすい人や、転職活動に焦りを感じている人は、特に気を付けましょう。
誤字・脱字対策は「自分を過信しない」ことがポイント。履歴書が完成すると、達成感から「頑張ったから大丈夫」と判断してしまいます。ミスがない前提でチェックしていると、案外見落としが起きるものです。
- 少し時間を空けてから見直しをする
- 項目ごとにひとつずつ確認する
- 第三者にチェックしてもらう
自分なりの確認方法を作り、手順を決めてひとつずつチェックしましょう。以下のような箇所は、特に注意が必要です。
- 会社名や資格名などの名称
- 日付や年号の書き間違い
- 文章の「てにをは」
データで履歴書を作成している場合は、校正機能を使った機械的な確認も有効です。手書きの場合も、写真に撮って生成AIに読み込ませれば、誤字チェックを補助することが可能です。
履歴書は一度提出してしまったら、修正できません。後からミスに気付くことがないよう、念入りに確認してから提出しましょう。
空欄を作らず埋める
履歴書では、空欄を作らないようにしましょう。空欄は「記入漏れでは?」という疑念を生み、書類全体の印象を下げる可能性があります。
たとえば、免許・資格欄に記入する内容がない場合、「特になし」と明記するのが基本です。何も書かれていないと、「忘れたのか」「見落としたのか」と採用担当者に余計な不信感を与えてしまいます。
ほかにも、基本情報の連絡先や本人希望記入欄も、何もなければそれぞれ以下のように埋めましょう。
- 基本情報の連絡先:緊急連絡先がなければ「同上」
- 本人希望記入欄:特記事項がなければ「貴社規定に従います。」
書きやすい項目から埋めていくタイプの方は、特に注意が抜けやすいポイントです。
履歴書が完成したら、項目を一つひとつ指差し確認していくのが、対策として有効。転職エージェントなどに最終チェックを頼むのもオススメです。
せっかく作り上げた履歴書が、空白ひとつで印象を悪くなるのはもったいないです。誤字・脱字チェックと並行して確認すると見逃しやすいので、二回に分けて確認しましょう。
書類は汚さずに提出
履歴書は多くの採用担当者が、最初に目を通す書類。きれいに整った履歴書は、内容以前に「この人は丁寧に仕事をする人だ」という好印象を与えます。
一方で書類が汚れていたり、シワのあったりすると、それだけでイメージダウンになるかもしれません。
とくに手書きの場合、修正液や修正テープの使用は避けるのが基本です。清書後に下書きの鉛筆を消す際は、書類の汚れやインクにじみが付かないように気を付けましょう。
作業中に飲み物のしずくが飛んで汚れたり、書くことに夢中で角が折れてしまったりすることにも注意してください。
データで履歴書を作って印刷する場合、作成時は汚れるリスクがないため効率的。ただし、印刷時にプリンターの印字がかすれたり、提出前に不注意で汚したりしてしまう可能性もあります。
「データだから大丈夫」と過信せず、念のため提出前には確認するように心がけましょう。
自己分析をすれば履歴書が書きやすくなる


履歴書はいきなり書き始めるのではなく、まず自己分析を行なってから取り組むことをオススメします。
自己分析は仕事においての価値観も整理するため、方向性を定めるうえでも始めに実施しておくと効率的です。
自己分析ではご自身の強みや弱みだけでなく、過去の職歴や経験を振り返る「キャリアの棚卸し」も行いましょう。
書きながら「何年前に働いていたっけ?」と思い出す手間がなくなり、結果的に早く正確に履歴書を書き上げられます。
自己分析のやり方については、以下の記事で詳しく説明しています。


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履歴書の各項目の書き方


履歴書には、氏名・住所・学歴・職歴など、記載する基本的な項目が決まっています。発達障害の有無にかかわらず、必要な情報は漏れなく記載しましょう。
テンプレートや市販の履歴書を活用しながら、自分に合ったやり方で進めてください。



目立たせようとして凝りすぎると逆効果!
基本情報欄


履歴書の最上段にある「基本情報欄」は、採用担当者が最初に目にする重要なパートです。記載内容に誤りがあると、連絡ミスや信頼性の低下につながる場合もあります。
- 氏名・住所は正式表記・省略なしで記載
- 電話番号・メールは読み間違いを防ぐ工夫を
- 写真は目に留まりやすく第一印象を左右する
特に手書きの場合は、書き損じや読みづらさに注意が必要です。慎重に確認しながら記入しましょう。
氏名・住所
氏名や所は正式な表記で、誤字・脱字のないよう丁寧に記入します。
住所は都道府県からアパート名・部屋番号まで、省略せず最後まで記載してください。
住所を見て書類を送付する企業もあるため、手書きの場合は転記ミスや字の読みにくさに気を付けましょう。
電話番号・メールアドレス
電話番号は携帯電話などの、日中でも連絡が取りやすい番号を記載しましょう。
メールで選考連絡を行う企業は多いため、メールアドレスも併記しておくことをオススメします。
メールアドレスの手書きは、似た文字の勘違いが起きやすいです。
- 数字の0(ゼロ)と英大文字のO(オー)
- 数字の9(キュウ)と英小文字のq(キュー)
- 数字の1(イチ)と英小文字のl(エル)と英大文字のI(アイ)
不安な方は転職活動用のメールアドレスを新しく取得すると、より安全です。
写真


履歴書の写真は目に留まりやすく、第一印象を左右するポイント。撮影時には、身だしなみに気を配りましょう。
- スーツなど清潔感のある服装で撮影する
- 髪型やメイクも整え、自然な表情で写る
- 過度な写真加工や大きな編集は行わない
スマホを使って自分で撮影するのも良いですが、過度な加工はNG。背景に気を付けつつ、友人や家族などに協力してもらいましょう。
自分で撮影するのが不安な方は、写真館などで就活用の写真を撮影してもらうのが一番。自然な感じのレタッチを施してくれるため、撮影はプロに依頼しましょう。
撮影後にデータがもらえる店であれば、コンビニ印刷で使い回せます。
何社も応募を繰り返す場合、都度スピード写真で撮影するよりもトータルで割安になる場合が多いです。
学歴・職歴欄


履歴書の学歴・職歴欄は、事実を正確・簡潔に記載することが基本です。盛り込みすぎると読みにくくなるため、ポイントを絞って書きましょう。
特に職歴欄では事実を端的に記載し、具体的な内容は職務経歴書へ記載することをオススメします。
学歴
学歴は、高校入学以降の学歴を記載するのが一般的。一行目の中央に「学歴」と書き、二行目から学歴の内容を書いていきましょう。
- 学校名・学部・学科は略さず正式名称を書く
- 途中で中退した場合も「中途退学」と記載
- 最終学歴は必ず記載する
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
学 歴 | ||
2015 | 4 | 東京都立吉田高等学校 入学 |
2018 | 3 | 東京都立吉田高等学校 卒業 |
2018 | 4 | 吉田大学 ~~学部 ~~学科 入学 |
2022 | 3 | 吉田大学 ~~学部 ~~学科 卒業 |
年号表記は、履歴書全体で西暦か和暦のどちらかに統一しましょう。西暦と和暦が混ざると、時系列が分かりにくくなってしまいます。
後述する「職歴」欄が足りなくなりそうな場合は、学歴の箇所を削って枠を作るのも有効です。
転職活動の場合は、学歴よりも職歴の情報が優先。以下のように最終学歴のみを記載しましょう。
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
最終学歴 | ||
2022 | 3 | 吉田大学 ~~学部 ~~学科 卒業 |
職歴
職歴は基本的に、すべての経歴を記載しましょう。学歴欄の下に一行空け、中央に「職歴」と書いてから書き始めます。
記入枠が足りる場合は「入社」「退職」でそれぞれ1行ずつ使い、間に配属先や業務内容を記載しましょう。
在職中の場合は、「現在に至る」または「在職中」と書き、現在の直近の勤務先で働いていることを明記します。
最後の行に右寄せで「以上」と記載してください。
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
職 歴 | ||
2022 | 4 | 株式会社YOSHIDA 入社 |
営業部に配属 | ||
首都圏を中心に営業担当として日用品の提案営業を行う | ||
2024 | 6 | 一身上の都合により退職 |
2024 | 8 | 吉田工業株式会社 入社 |
… | … | … |
現在に至る | ||
(※右寄せ)以上 |
転職回数が多く枠が足りない場合は、入社と退職を1行でまとめて記載します。
年 | 月 | 学歴・職歴 |
---|---|---|
職 歴 | ||
2022 | 4 | 株式会社YOSHIDA 入社(2024年6月 一身上の都合により退職) |
2024 | 8 | 吉田工業株式会社 入社(2024年12月 一身上の都合により退職) |
… | … | … |
現在に至る (※右寄せ)以上 |
短期間で退職した場合でも、省略せずに記載してください。離・転職が多い場合は、職歴欄の枠が多い履歴書を使いましょう。
アルバイト・派遣・副業(業務委託)などは、応募職種へのアピールになる経歴であれば積極的に追記しましょう。就労移行支援や就労継続支援などの通所歴も、一定のアピール材料になります。
障害を開示して働く場合、就労支援の通所を「訓練歴」として記載するのはオススメ。就労支援のカリキュラムが好印象につながることは多く、空白期間の説明にもなり効果的です。
就労継続支援A型事業所の場合は雇用契約を結ぶため、勤務実績として記載できます。
一方で障害を開示せずに働く場合は、正直にすべてを記載すると不利になる場合があります。空白期間となるので、面接でどのように説明するか考えておきましょう。



私はクローズの場合「療養期間」と説明していたよ!過去の話だから詳しく聞かれることもなかったかな。
免許・資格欄


履歴書の免許・資格欄では、運転免許を先に記載し、続けてアピールできる資格を書きましょう。
情報を整理して書くことで、採用担当者にとって読みやすく、印象に残りやすくなります。
- 資格名は省略せず正式名称で記載
- 取得年月日の表記は学歴・職歴と統一
- 免許・職種に関連するものを優先
運転免許や関連資格は合否に直接関わるため、見やすい位置に記載しておくと効果的です。
勉強中の資格は「取得予定」として記載してもOK。「持っているから書く」「無いから書かない」ではなく、応募先にアピールできるかどうかで考えてください。
取得予定と記載するなら、学習の進捗や目標の試験日などを答えられるようにしましょう。
資格が多く欄に収まらない場合は、記載する資格の取捨選択をします。応募職種と無関係なものを省略したり、職務経歴書で補足したりするのがオススメです。
文章記入欄


履歴書の中でも、志望動機や自己PRなどの文章記入欄は「何を書けばいいか分からない」と悩みやすい項目。
発達障害のある方の中には「言葉にするのが苦手」「文章がまとまらない」といった困りごとを抱える方も多いです。
文章はうまく書くことに意識を向けるよりも、先に「何を書くか」を整理するのが大切。いきなり書き始めず、骨組みを整えてから仕上げましょう。
- 志望動機
- 自己PR



紙やスマホのメモ帳に「書くこと」をまとめておくと楽だよ!
志望動機
志望動機は、採用担当者が「なぜこの会社に応募したのか?」を確認するための項目です。
発達障害のある私たちにとって、働き方や職場環境との相性は特に重要。「自分に合った職場で前向きに働きたい」という意思を、志望動機でしっかり伝えることが大切です。
- 職種に対する興味や自分との相性
- 応募先企業を選んだ理由
- 入社への熱意や貢献意欲
この3点を意識して、無理に長文にせず、簡潔かつ具体的にまとめるのが効果的。志望動機で大切なことは、「このひとは採用してもすぐに辞めないだろう」と感じてもらうことです。
志望動機の詳しい書き方や例文は、以下の記事も合わせてお読みください。
自己PR
自己PRは、あなたの強みを企業へ売り込む「訴求」です。単なる特徴の紹介ではなく、「採用するとどんなメリットがあるか?」を具体的に伝えましょう。
訴求とは、なにかを訴えて要求したり、広告や宣伝を通じて消費者の購買意欲に働きかけたりすることです。ただ情報を伝えるだけでなく、なんらかの行動を求める意図が含まれています。
引用:小学館「Domani」
- 企業視点で「強み」を伝える
- 業界や企業ごとに個別で考える
- 一方的な自己アピールはNG
内容は盛りすぎず、「何ができるか」「どう役立つか」を短く伝えるのがポイントです。
履歴書の枠は、志望動機などと合わせてひとつしかない場合があります。スペースに限りがあるため、詳細は職務経歴書に回してOK。「部署に配属したときに仕事を任せられそうか」を、簡潔にまとめて記載しましょう。
自己PRの作り方について詳しく知りたい方は、以下の記事で例文や組み立て方を紹介しています。
本人希望記入欄(障害の情報)


本人希望記入欄では主に、働くうえで必要となる条件を記載します。
特に記載することがなければ「貴社規定に従います。」でOK。特別な事情がある場合のみ、端的に情報を記載しましょう。
- 現職の退職予定日や入社時期の制限
- 複数職種の募集がある場合の希望職種
- 家庭事情による勤務地・時間などの制限
障害を開示しない場合は、発達障害に関することを記載しないようにしてください。
障害を開示する場合は、「本人希望記入欄」に障害名や手帳の等級などを記載します。
記入例)
障害名:自閉スペクトラム症(発達障害)
手帳:精神保健福祉手帳2級(20XX年XX月 取得)
※配慮事項については別紙で補足いたします。
スペースに余裕がある場合は、配慮事項を書き込むのもOK。ただし詰め込みすぎて読みにくい場合は、「職務経歴書」や「私の障害について」などで別枠を設けましょう。



あくまで簡潔に!書き込みすぎると逆に読みにくいよ。
履歴書以外に作る応募書類
就職活動では、履歴書だけでなく複数の応募書類が必要です。それぞれの書類には役割があり、あなたの能力や特性を伝えるための補足資料となります。
履歴書だけでは伝えきれない情報を、補足資料で適切に伝えることが大切です。
- 職務経歴書
- 私の障害について



役割は全部違うよ!ひとつずつ作っていこう。
職務経歴書


「職務経歴書」は、あなたの経験やスキルを企業に伝える「提案」の役割を持つ書類。実績や強み、意欲などを、具体的に説明するための補足資料です。
職務経歴書の内容から、採用担当者はあなたの働きぶりをイメージします。単に経歴を書き並べるのではなく、どのような力を発揮し、どんな価値を提供できるかを伝えることが重要です。
履歴書と職務経歴書の違い
履歴書と職務経歴書は混同されがちですが、異なる書類です。
内容 | 役割 | |
---|---|---|
履歴書 | 応募者のプロフィールを確認する書類 | 応募者の人物像を確認し、採用後の人事資料として保管 |
職務経歴書 | 応募者のスキル・経験や業務適性を確認する書類 | 詳しい実務経験や能力を確認し、自社の求める能力と合致する人かを判断 |
履歴書は個人情報や経歴など、応募者の人物像を確認するために使います。
一方で職務経歴書は、募集している条件と合致しているか、長く働き貢献してくれそうかなどを確認するために使います。
転職活動の書類選考では、履歴書よりも職務経歴書を重視されやすいです。応募書類をさらに磨き上げるなら、職務経歴書を優先してテコ入れしていくと良いでしょう。
職務経歴書の書き方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
「私の障害について」


「私の障害について」は、障害特性や必要な配慮を企業側に伝えるための任意書類です。
履歴書・職務経歴書と違って必須ではなく、特にクローズ就労(障害を開示せず働く場合)では提出する必要はありません。
一方で、オープン就労(障害を開示して働く場合)では、この書類を用意しておくことで企業側が適切な配慮を検討しやすくなります。
転職活動に使わない場合でも、自分の障害特性や得意・苦手を整理することで、自己理解を深めるツールとして役立ちます。
- ご自身の障害の概要
- 障害特性と配慮事項
- 関連機関
以下の記事内では、筆者が実際に提出した見本も紹介しています。必要に応じて参考にしてみてください。
書類選考を突破するための「見せ方」のコツ


書類選考は、資料を使った企業へのプレゼンです。企業に「この人と会ってみたい」と思わせる材料として、見せ方が重要になります。
何を・誰に・どうやって伝えるかを工夫し、応募書類全体であなたの良さを紹介することが大切です。
次の5つのポイントを意識することで、書類の印象は大きく変わります。
- 自己分析で自身の特徴を言語化する
- 企業が求める人物像を意識する
- 応募書類に「キーワード」を盛り込む
- 文章・表現を読みやすく修正する
- 企業ごとに書類をカスタマイズする
こうした工夫を積み重ねることで、書類選考の通過率は確実に高まります。読み手である採用担当者を意識して、一社ごとに書類をブラッシュアップしていきましょう。
書類選考の通過率を上げる「見せ方」については、以下の記事をお読みください。



通過率を上げるには作り込みが大事!
履歴書作成時のよくある質問
履歴書を作成するうえで、よくある質問を紹介します。
まとめ|発達障害者こそ履歴書作りの対策は必須
この記事では発達障害がある方に向けて、履歴書が書けないときの対策や、項目ごとの書き方を紹介しました。
- 履歴書は事実を正確に伝える基礎資料
- 発達障害の特性による苦手感は工夫でカバー
- 履歴書では「減点を減らす」意識が大切
履歴書は一度作って終わりではありません。転職活動中に見直したり、書き方を改善したりと、少しずつ効率よく作れるようにしていきましょう。
仕上がりに不安がある場合は、転職エージェントなどの第三者にチェックしてもらうことも大切です。
まずはベースとなる履歴書の見本を作り、いつでも求人に応募できる状態を整えましょう。


発達障害がある人の転職活動、ここで止まっていませんか?
- 書類が通らない → 何が悪いのか分からない
- 面接が怖い → 準備のやり方が合ってるか心配
- 仕事選びが不安 → 自分に合う職場って何?
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