- 自己分析が難しくて全然進まない…
- 本当に自己分析ってやる必要あるの?
- 何を分析すればいいか知りたい!
就職・転職活動を始めるにあたり、最初に必要となる「自己分析」。障害を持つ方は選考基準の中に、自身の障害・特性を理解しているか判断されることが多いです。
面接でも障害について聞かれることは多いよ!
本記事ではそんな自己分析の手順やメリット、失敗しないポイントについて紹介しています。
- 自己分析で得られるメリットって何だろう
- どんな風に自己分析を進めればいいか知りたい
このような方は本記事を、ぜひ最後までお読みください。
障害者雇用の転職には自己分析が大切
障害者雇用の転職で成功するには、自己分析が不可欠。
自己分析は障害特性を整理して終わりではなく、転職の指針や今後のキャリアまで広く見通す大切な役割があります。
- 障害特性を理解して適切な配慮を求める
- キャリアを振り返って実績を整理する
- 強み・弱みを見つけ求人選びに活かす
- 転職で必ず達成したい目標を決める
いわば転職におけるスタートとゴールを決めるのが自己分析。ただ闇雲に走り出すのではなく、現在地と目標を定めてから転職活動を始めましょう。
障害者雇用の自己分析を深める手順4つ
障害者雇用の自己分析を深める手順を4つ紹介します。
- キャリアの棚卸し
- 強みと弱みの整理
- 障害特性の自己理解
- 転職の軸探し
自己分析は内面と向き合う作業。少しやっただけで疲労感が強く出ることもあるでしょう。
焦ってすぐに終わらそうとせず、じっくり時間を取って取り組んでみてください。
キャリアの棚卸し
キャリアの棚卸しでは、これまでの仕事経験や成功・失敗を書き出していきましょう。得意なことや不得意なことを「見える化」することが大切です。
- 成功・失敗体験を思いつく限り書き出す
- 似たような成功・失敗をグループ化
- グループを読み解き得意・不得意に変換
- 身に付いたスキル・能力を書き出す
- 得意とスキルから転職の方向性を決める
以前も障害者雇用で働いていた方の場合、どんな配慮を受けていたかも参考資料となるのでメモしておきましょう。
もちろん就労移行支援での訓練内容も、自身の能力を判断する素材として使えます。
詳しくは以下の記事で、5つのステップに分けてキャリアの棚卸しを説明しています。ぜひお読みください。
強みと弱みの整理
障害者雇用の転職活動では、自身の強みと弱みを把握しているかが重要なポイント。配慮を受けるにあたって、苦手なこと・できないことを言語化できているかが鍵です。
また弱みだけでなく、強みの把握も忘れずに抑えておきましょう。
強みは今後のキャリアを伸ばすうえで、特に力を入れるべきポイント。市場価値を高めたり、年収を引き上げたり、生活レベルを向上させるには強みの把握が不可欠です。
弱みばかりがダイレクトに影響してしまう職場だと、評価を受けるのは難しいもの。
強みと弱みの整理方法については、以下の記事を参照してください。
障害特性の自己理解
障害者雇用へ転職する場合、まずは自身の障害特性を正しく認識するところから始めましょう。
精神・発達障害を持つ方は特に、特性が一人ひとり異なるため、職場に対し「どんな対処が必要か?」を伝えられるように整理してください。
- 働くうえで何が問題になりやすいか?
- 今までどのように対処してきたか?
- 会社からどんな配慮を受けたら働きやすいか?
そのうえで、可能であれば苦手と思い込んでいる特性を、ひっくり返してみるのも有効です。
強みと弱みは表裏一体とよく言います。ご自身が感じている弱みが、ちょっと視点をズラすだけで他者から重宝される強みとなるでしょう。
詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
▶ 障害者雇用は自己理解が重要!特性を整理する3つのステップ
転職の軸探し
障害特性・過去の経験・強みや弱みを整理したうえで、今回の転職における「軸」を明確にしましょう。
転職の軸とは、転職活動の中で特に優先したい判断基準のこと。年収や休日などの具体的な数値のほか、働き方や職種といった方針を軸にする方もいます。
「適切な配慮を受けて働く」を主軸に考えるのも有効です。
どんなことを改善・ステップアップしたいかを定めることで、転職後の満足感を高めることが可能です。
転職の軸探しについては、以下の記事で詳しく説明しています。
転職活動を始める前に自己分析しよう
自己分析は転職活動を始める前、応募書類を書いたり面接を受けたりする前に実施しましょう。まずは転職の目的や自分の客観的な能力を分析し、明確なゴールを作ったうえで走り始める方が効率的です。
職がなく焦っている状況でない限りは、一旦落ち着いて自己分析に取り組むことをオススメします。
自分の特性や目標も分からず、ただ闇雲に応募しても満足度の高い転職は実現できません。
例えるなら現在地も目的地も設定できない地図アプリみたいなもの!
自己分析で見つけたい項目3つ
自己分析で見つけたい項目は、以下の3つです。
- できること
- やりたいこと
- 求められること
この3点を意識しながら、自己分析を進めてみてください。
3つのバランスが取れるポイントを探そう!
できること
自己分析の過程で「できること」を見つけるのは、転職活動や今後のキャリアを改善していくために有効です。
今自分が持っているスキル・経験・知識が何かを整理していくことで、有利に転職活動が進められるフィールドを発見できるようになります。
- 業務経験や事業所の訓練
- 専門的な知識や資格
- PCソフトを扱うスキル
「できること」が明確になれば、能力が足りていない求人へ応募し気落ちしてしまうことを避けられます。書類作成や面接などに余計な時間を取られずに済むため、確度の高い求人へ集中することも可能です。
「できること」を少しずつ広げていけば、将来の選択肢も増えます。目の前の転職活動を成功させるには、現状把握が非常に大切です。
やりたいこと
自身の興味や熱意にかかわる「やりたいこと」は、転職の満足度に大きく影響します。自分の興味関心を妥協しすぎると、入社後にミスマッチが起きることもあるでしょう。
- 職種や業界・働き方への興味
- 優先したい私生活の関心事
- 深い価値観や長期的な目標
「やりたいこと」の欠けた転職は、モチベーションが上がりにくいです。義務感で働いていたり、生活のためだからと妥協した気持ちで働くことになってしまいます。
せっかく転職を目指すのであればなおさら、自分の「やりたいこと」を見つめ直すことが満足度を高める鍵になります。
求められること
転職において企業から「求められること」を理解するのは、入社後の評価や活躍のポイントになります。
企業は目的があって採用活動を行っています。目的はひとつだけでなく、複数が関わっていることがほとんどです。
- 特定の業務で人が足りないから採用強化
- 部署拡大が予想されるため人員を増やしたい
- 法定雇用率の達成に向けて雇用したい
企業には従業員数に応じて障害者を雇用する「法定雇用率」という義務があります。
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。
引用:厚生労働省
しかし企業側はただ雇用するだけでなく、何か他の目的もあって求人募集をしているもの。
「私じゃなくて障害者手帳が必要だから雇用される」と考えず、私達に何を求めて募集しているかを把握しましょう。
求人一つひとつの採用ニーズを考え、「求められること」を提供できるか分析してみてください。
自己分析に失敗しないポイント
自己分析に失敗しないために、気をつけるポイントを3つ紹介します。
- 客観的な意見も受け入れる
- できないことばかりに目を向けない
- 時間をかけてじっくり取り組む
客観的な意見も受け入れる
自己分析は自分の頭だけで考えず、他者の意見やツールの結果も受け入れて多角的に整理しましょう。
さまざまな角度からアドバイスをもらうと、見逃していたポイントに気付くことがあります。中には批判的な意見もありますが、考えを改めるヒントになることも多いです。
客観的な意見を聞くことで、自身の良いところや苦手なところが理解できるため、転職活動にもいい影響があるでしょう。
できないことばかりに目を向けない
自己分析の過程でできないことばかりに集中すると、自分に対するイメージが悪くなってしまいます。場合によっては自己評価が歪んだり、モチベーションが低下したりするリスクもあるでしょう。
「できないこと」は改善のチャンスと捉え、配慮を受けたりライフハックを探したり、どうすれば良くなるかを探すのも必要なステップです。
自己分析はただ悲観的になるためにするものではありません。良い面・悪い面の両方を見ることで、次につなげるために分析してください。
時間をかけてじっくり取り組む
自己分析は、短時間で簡単に終わるものではありません。
自分自身について、じっくり時間をかけて考えてみることが大切。障害特性だけでなく、性格や価値観、能力などを丁寧に掘り下げてください。
特に障害や特性についての分析は、過去の苦しい経験を思い出すことも多いです。無理に進めて体調を崩すより、期間を長く取って取り組む方がかえって進むこともあります。
転職は人生の大きな転機となります。慎重に進めるに越したことはありません。
一度振り返った内容を別の日に見返すと、新たな発見があることも!
自己分析をするメリット9つ
転職活動のはじめに自己分析をする理由を9つ紹介します。
適切な職種・求人選びや応募選考の合格率UP、転職後の働きやすさにも広く効果があるため、自己分析には時間をかける価値があります。
不得意な業務に気付ける
自己分析を通じて、自身の不得意・苦手な業務に気付けます。スキルや興味、障害特性を理解することで、適さない職種や業務内容を把握できるでしょう。
- じっとしていることが苦手
- ▶ 黙々と座って作業する業務は不得意
- 急かされるのが苦手
- ▶ ペースが早いライン作業はキツイ
- プレッシャーに弱い
- ▶ 高い目標を求められる営業は避けるべき
不得意な業務が分かれば、求人検索の時点で避けることが可能。結果として、入社後に評価を得られず早期離職してしまうことを防げます。
苦手なことの中には訓練で改善できる場合もあるので、「将来ずっとできない」とは思い込まないようにしましょう。
合わない求人にアタックしている時間はもったいない!
求人提案が受けやすくなる
障害者雇用の転職活動では、支援者のサポートを受けながら進めるパターンが多いです。
支援者経由で求人を紹介してもらう機会も多いため、自身がどんな求人を探しているか適切に伝えられると話がスムーズ。
支援者の理解が深まり、理想にマッチした求人を紹介してもらえる確率が高くなります。
- 微妙な求人紹介を受ける時間のロス
- 入社後に想像と違うと気付き早期退職
などを防ぐことも可能です。
自己分析をすることで、支援者へ具体的な現状説明ができるようになるでしょう。
魅力的な自己PR文が書ける
応募書類を書くうえで、手が止まってしまいがちな自己PR。障害特性ばかりに目を向けてしまうと、アピールできる長所が思いつかないことは多いです。
自己分析を行い強みと弱みを把握すれば、できること・できないことの区別がハッキリするため魅力的な自己PR文が書けるようになります。
書類選考の通過率を上げるには、自己PR文の精度も重要。読み手である企業にとって興味を引くアピールをするために、自己分析を行うことは大切です。
書類選考の通過率は、転職活動を短期間で終わらせるためにも重要だよ!
希望する配慮が具体的になる
障害を持つ方が自己分析を行うと、職場で必要とする配慮がより具体的になります。
「合理的配慮」とは、「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」と定義されている。
引用:文部科学省
精神・発達障害など目に見えない障害を持つ方は、見た目で特性やできないことが上手く伝わりません。企業側にとっても、どんな配慮をすれば働けるのか判断しにくいです。
配慮事項が妥当か見極めるためにも、自己分析によって必要な配慮を具体的にすることが有効。
- ◯◯はなんか苦手だからできません
- ◯◯が不得意なため△△の配慮が欲しい
自己分析をすると、具体的で企業側の判断しやすい伝え方ができるようになります。
配慮の伝え方については、以下の記事も合わせてお読みください。
面接官の思い込みを修正できる
自己分析によって自己理解が深まれば、面接官の持つ「障害への思い込みや先入観」を修正できます。
面接官は企業の人事担当や役職者が兼務するケースがほとんどで、個別の障害に対するプロではありません。そのため障害特性を思い込み、実際とギャップが生じてしまう可能性があります。
- 書籍に書いてある特性が全員に当てはまる
- この障害を持つ人は、こういうタイプだ
- 見た目は普通だし、不具合はないだろう
自己分析を通じて自身の障害を理解すれば、応募書類や面接で適切に説明できるようになるでしょう。面接官が思い込み・勘違いをしていても、会話の中で修正することが可能です。
選考時に認識がズレていると入社後に影響します。自身の障害特性を説明することは、長く働き続けるうえでも重要です。
想定外の質問に受け答えできる
自己分析をすることで、想定外の質問にも適切に対応できます。
面接では予想していない質問を投げかけられることが多いです。表面的な質問だけでなく、特定の質問を更に深掘りされる機会もあるでしょう。
- 苦手なこと・できないこと
- その理由・実際にあった出来事
- 自分で対処できること・企業に求めること
- 過去の仕事で得意だったこと・その理由
- 具体的なエピソード
決して意地悪で質問しているわけではなく、入社後に働いている姿を想像するために聞くことがほとんど。長く働き続けるためにも、積極的に回答できるとミスマッチが起きにくいです。
一方で障害特性などの重要な質問に答えられない場合、障害特性の自己理解が進んでいないと判断される恐れもあります。
自己分析を深めて特性をしっかり把握することで、予想していなかった質問にも上手く回答できるようになるでしょう。
職場の人に得意・不得意を説明できる
自己分析をすることによって、職場の同僚や上司へ自分のことを上手く説明できます。
障害特性や苦手なことだけでなく、得意なこと、やっていきたい目標なども明確に伝えられるでしょう。自身の能力や限界を伝えることで、職場に正しく伝わり働きやすくなります。
- 得意な仕事を多く渡してもらえるようになる
- 苦手な領域の仕事をうまくカバーしてもらえる
- 障害への周囲の理解が進み働きやすくなる
一方で障害者雇用として入社しても、具体的な特性は人事部しか把握していないケースはよくあります。
自分自身で「できること・苦手なこと」を説明し、環境作りをすることが最初の仕事になることもあるでしょう。
就労移行支援を利用している方は定着支援を受けられますが、自己就職の場合は頼れる支援者が少ない状況にあります。また定着支援があっても、上手く介入してもらえるかは支援者のスキル次第。
支援者に頼り切るのではなく、自己分析を深めて自身でも「できる・できない」を説明できるようにしてください。
私も前職では「発達障害の人」としか伝わっておらず大変な思いをしたよ!
不具合の原因を正しく分析できる
自己分析をすることによって、働くなかで起きる様々な不具合を正しく分析できるようになります。
新しい仕事を振られたときや、「なんか上手くいかない…」というときに、何が原因で不調なのかを特定するために使えるでしょう。
自身の特性や強み・弱みを把握しておくと、トラブルが起きたときに
- ○○の特性が関係しているかも?
- 障害じゃなくてスキルが足りないかも?
- もしかしたら体調が不安定になっているかも?
と、さまざまな角度から原因を想像できるようになります。
働くうえで不具合やトラブルは必ず起きます。自己分析をして特性や弱みを整理しておけば、困ったときの助けになるでしょう。
キャリアアップの道筋を整理できる
自己分析のメリットは、目の前にある転職活動や入社だけではありません。3年後、5年後を見据えて、将来に向けたキャリアアップの道筋を整理するためにも使えます。
- 自分はどんなことに興味があるのか
- 何をするのが得意で、活躍できそうか
- 何が苦手で、避けるべき環境はどんなものか
今持っているスキルが高くないとしても、自分の伸びやすい分野や強みを知っていれば、長期目線で強化していくことも可能です。
- 評価を得やすい資格を取ってみる
- 関連する分野の人と会ってみる
- 早めに転職エージェントへ打診しておく
興味関心や長期的な目標を見つけるためにも、自己分析は役に立つでしょう。
障害者雇用の転職活動は自己分析から始めよう
本記事は転職を検討している障害者の方に向けて、自己分析のメリットとポイントについて紹介しました。
- 転職活動の前に自己分析をするメリット
- 自己分析で最終的に得たいもの3つ
- 自己分析で失敗しないポイント3つ
自己分析は自分の内面と深く向き合うため、難易度が高く挫折する人が多いです。障害を持つ方は自身の特性について、目を背けたくなることもあるでしょう。
「自己分析ができない」と、手が止まってしまうのも無理はありません。
自己分析が難しい場合は決して焦らず、時間をかけてじっくり取り組むことをオススメします。
ぜひ自己分析を転職活動に活かし、ご自身に合った転職を成功させましょう。
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自己分析にオススメしたいツールはミイダス。誰でも無料で利用でき、ストレス要因・職務適性・上下関係適性などさまざまな回答結果を得られます。
特にストレス要因は発達障害を持つ方が働くうえで意識すべきポイントのひとつ。どんなときに負荷がかかるのかを知っておくだけでも、職場定着や活躍にいい影響を与えるでしょう。