- 障害のこと、面接でうまく話せなかったらどうしよう。
- 聞かれた質問にちゃんと答えられるか不安…
- 失敗しないために面接対策しておきたい!
書類選考を通過したら、必ず待ち構える「面接」。障害者雇用も一般の就職・転職と同じく、面接時の受け答えが採用に大きく影響します。
しかし「うまく話せないかも?」「どんなことを聞かれるんだろう」と、面接に不安を抱えている人は多いです。
私も緊張して言葉が出なかった経験があるよ。
本記事では面接前に行うべき事前準備と、障害者雇用の面接当日に気を付けるべきポイントをまとめて紹介しています。
- 面接対策と事前準備
- 面接当日の流れとポイント
- 面接後にやるべき振り返り
面接対策で特に重要なのは、当日よりも面接の前後。前日までに対策をしっかり立て、面接後は必ず印象を振り返ってください。
大抵の場合、面接は1回だけでなく2回~3回行われます。事前に対策を立てて面接後に振り返り、行き当たりばったりの面接を避けましょう。
- 「面接決まったけど自信がない…」
- 「どうしても内定取りたい企業がある!」
そんな方は本記事を、ぜひ最後までお読みください。
障害者雇用でも面接対策は必須
障害者雇用の選考において、面接は非常に重要な役割。企業と私たちの相性や、スキル、意欲などが総合的に評価されます。
準備なしで面接に向かうと失敗してしまうため、必ず事前に面接対策を行いましょう。
- 聞かれそうな質問への回答を考える
- 面接の雰囲気に「場馴れ」する
- 自己分析と企業研究を再確認する
障害者雇用の面接は、単なる「顔合わせの場」ではありません。たとえ書類上で評価が良くとも、面接で不採用になるケースは多いです。
「書類選考が通ったからもう大丈夫だ」と浮かれずに、きっちり対策を立ててから面接に進んでください。
書類選考を通過してからが本番!
面接の役割と重要性
障害者雇用の面接は、応募者との顔合わせだけではありません。企業側に対し、ご自身のスキルや転職意志を明確に伝えてください。
面接の役割と重要性は以下の通りです。
- 書類では読み取れない詳細を聞く
- 応募者が社風に合うか確認する
- 職場での配慮事項を調整する
面接ではスキル経歴だけでなく、書類だけでは分からない人柄や適性なども確認する機会。面接官から評価されるとともに、私達も「働くに値する会社なのか?」を自分の目で判断しましょう。
双方にとって入社が良い選択となるか、見極めることが大切です。
障害者雇用の面接は「ただの顔合わせ」ではないよ!
障害者雇用の面接は顔合わせではない
障害者雇用の面接は、単なる顔合わせや形式的なものではありません。スキルや人柄、コミュニケーション力など、厳しく見極められます。
「応募書類が通れば、ほぼ内定」といった意見も見かけますが、油断し手を抜いてしまうと内定に自信があった求人すら不採用となってしまいます。
面接が決まったら必ず事前準備を行い、当日も余裕を持ったスケジュールで動きましょう。
詳しくは本記事の「面接対策と事前準備」「面接当日の流れとポイント」の章で解説します。
ぶっつけ本番じゃ、受かるものも受からない!
障害者雇用の面接で聞かれやすい質問と回答例
本記事では障害者雇用の面接で聞かれやすい質問5つと、回答例を紹介します。
- 自己紹介をお願いします。
- 当社を志望した理由は何ですか?
- あなたの強みを教えてください。
- 退職理由を教えてください。
- 発達障害とはどんな障害ですか?
さらに多くの質問例が見たい方は、以下の記事も参考にしてください。
よくある質問はさらっと答えられるようにしておこう!
自己紹介をお願いします。
自己紹介は面接の冒頭で必ず聞かれる質問です。自己紹介ではあなたの基本的な情報を簡潔にまとめて、1分程度で話し終わるボリュームで伝えましょう。
例)
よしだと申します。本日はお時間を頂きありがとうございます。私は現在、○○社で総務職を担当しており、メイン業務はデータ集計です。PowerPointを使ったプレゼン資料作りが得意で、他部署からも作成依頼を頂くことが多いです。私は自閉症スペクトラム障害という障害を持っております。本日はよろしくお願いいたします。
自己紹介はあくまであなた自身の紹介であり、職歴や障害特性などの詳細説明は行いません。
- 名前
- 職務経験
- 長所
- 障害のこと
基本的な情報をサラッとまとめて、詳細は面接官に質問してもらうようにしましょう。
当社を志望した理由は何ですか?
いわゆる「志望動機」です。数多くの求人から、なぜこの会社を選んだかを答えましょう。
志望動機には以下の3点を盛り込むと、説得力のある説明ができます。
- 熱意:職種への志望理由・適正・経験
- 相性:この企業へ応募した理由・魅力
- 締め:採用後の熱意・貢献したい思い
例)
私は現職の総務経験を経て、労務に特化した仕事をしたいと思うようになりました。御社では総務の中の役割に労務が入るのではなく、労務だけに絞った専門性のある業務範囲に魅力を感じております。また趣味で関わりのあるWeb領域の企業であることも、御社に志望した理由のひとつです。ぜひ御社の一員として、会社の土台を支えられる人材になりたいと思い応募いたしました。
応募書類に書いた志望動機の内容をベースに、深く掘り下げながら伝えると好印象につながります。志望動機のポイントは「私にとって、御社はマッチしている」と伝えることです。
志望動機の考え方は、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
あなたの強みを教えてください。
あなたの「自己PR」を聞くための質問です。応募企業に対してあなたが提供できるスキルや、業務をするうえで長所となる性格・実績などを伝えてアピールしましょう。
応募している求人の業務内容に経験があれば「これまでの経験」を、未経験の場合は「長所や別職種から転用できるスキル」などを紹介すると効果的です。
企業がどんなスキルを求めているか想像し、逆算して「持っているアピール」をするのも良いでしょう。
例)
私の強みは自分で調べる力です。私には物事を自分で調べて解決する力があります。これまでも分からない事や困った事が起きたらまず自分で調べ、より良い解決方法を模索してきました。初めて担当する仕事でも書籍やネットを活用して方法を調べたり、上司へ相談する前に少しだけ取りかかってみたりと、自分で改善方法を探して実行する力があります。前職でもExcelのVBAに挑戦したり、Power pointによる資料作成などにも率先してチャレンジしました。新しいことにもひるまず、調べながら進めていける事が強みです。
自己PRで伝える内容は応募書類に書いた自己PR文をベースにして、より深掘ったりエピソードを混じえたりしながら詳細に話していきます。自己PRのポイントは「御社にとって、私はマッチしている」と伝えることです。
自己PRの考え方は、以下の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
退職理由を教えてください。
転職面接では必ずといっていいほど聞かれるのが、現職(前職)を退職する理由。直近の勤務先だけでなく、過去の職場それぞれの理由を聞かれると思っておいた方が良いでしょう。
- 退職の経緯を分析できているか?
- 今回の転職では退職の原因を払拭できているか?
- 全て環境や他人のせいにし、思考停止していないか?
退職理由は他責(※原因を自分以外の人や状況だと考えること)ばかりに目がいってしまうと、企業側は「自分で改善を試みることができない人だ」と判断してしまう可能性があります。
たとえ環境や人間関係が退職理由の中心だったとしても
- 自分でできる範囲の行動を起こしても改善できなかった
- 退職当時は思考が至らなかったと反省していることを伝える
など、愚痴や不満だけで終わらないようにしましょう。過去に囚われすぎてネガティブな印象が残ってしまいます。
例えば業務の切り出しが丁寧な一方で、画一的すぎてつまらない事が転職理由の場合は以下が考えられます。
例)
○○社を退職した理由は、当時の気持ちを正直にお伝えすると「もっと自分で工夫できる仕事をしたかったから」です。○○社では業務の切り出しを丁寧にして頂いたため働きやすい反面、自分で工夫できる範囲が狭いと感じておりました。今思い返すと△△の部分では自分なりにやりがいを見出だせていたことや、新しい仕事に挑戦したい気持ちの自己発信が足りていなかったと思います。今回の転職では2点、まず頂いた仕事を丁寧にこなすこと、自分のできる事を自己発信することを徹底したいと考えております。
退職理由は人それぞれ、勤めていた環境ごとに全く異なるため、ご自身で見つめ直して考える必要があります。前職の不平不満だけに終わらず「当時を振り返った今、できること」まで目を向けて考えましょう。
どんな障害ですか?
障害者雇用の転職活動では、通常の面接質問の他、障害に関する質問も多く聞かれます。
しかし面接官は「発達障害」「精神障害」「身体障害」、それぞれの障害名など障害に対する個別のプロではありません。
自分の障害特性を言葉にして伝える努力が必要です。
障害特性は人それぞれ異なるうえ、書籍やネットの情報を鵜呑みにして「この障害の人はこんなタイプ」という思い込みを持っている面接官もいます。障害について質問されたら、一般論ではなくご自身の特性まで伝えて理解を得られるようにしましょう。
例えば私の場合は自閉症スペクトラム障害の診断が出ていますが、一般的にADHDの特性と言われるような不具合も持ち合わせています。そのため面接では以下のように答えました。
例)
私は発達障害という障害があります。発達障害は一部、普通の人よりも苦手な事がある障害です。私の主な障害特性は「物事に集中しすぎてしまい周りが見えなくなることがある」「優先順位をつけることが不得意」「予定の割り込みが苦手」の3つです。自分でもToDoリストを作ってトラブルが起きないよう努力していますが、手に負えなくなったときだけでも相談できる方を紹介していただけると助かります。
障害のことを質問されたら、そのまま企業側が配慮すべきポイントの確認に移ることが多いです。回答の中に配慮の希望を盛り込むことで、スムーズにすり合わせへ繋げることもできます。
企業に配慮を求めるときの伝え方やポイントは、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひこちらもお読みください。
面接対策と事前準備
面接の成果は、事前準備の精度によって結果が大きく変わります。面接当日までの限られた時間を有効に使い、事前準備を万全にして面接に臨みましょう。
面接前にやるべきことは、具体的には以下の通りです。
- よく聞かれる質問への回答準備
- 自己分析と企業研究の再確認
- 模擬面接による練習
- 面接当日の準備
良い結果を得られるように、できることをやり切ろう!
よく聞かれる質問への回答準備
面接対策で最も重要なのは、よく聞かれる質問への回答を考えること。障害者雇用の面接では、よく聞かれる定番の質問があります。
- 自己紹介
- 志望動機
- 強みや弱み
- 障害特性
- 会社に求める配慮
聞かれると分かっている質問は、準備しておくに越したことはありません。事前にどんな回答をするか考え、リスト化しておくと安心して面接を受けられます。
面接では表面的な質問のほか、ひとつの事柄に対して突っ込んで質問を重ねる場合もあります。面接時に慌てないよう、前もって掘り下げて考えておくと良いでしょう。
- 面接で聞かれやすい質問内容
- 回答への「深堀り」も対策する
- 面接の最後に聞かれる「逆質問」を準備
面接で聞かれやすい質問内容
面接で自信を持って受け答えするために、前もって質問内容への回答を考えておきましょう。
障害者雇用の面接では、聞かれやすい定番の質問があります。その場その場で考えず、事前に回答をまとめてください。
- あなた自身のこと
- 過去の経験に関すること
- キャリアに関すること
- 障害に関すること
- メンタル面に関すること
ポイントは応募書類と照らし合わせること。
面接では履歴書や職務経歴書など、応募書類に書かれた内容について質問されることが多いです。
提出した応募書類を読み返し、「自分が面接官なら何を質問するだろうか?」と想像しながら考えることをオススメします。
障害者雇用の面接で聞かれやすい質問については、以下の記事もお読みください。
質問と回答リストを作っておくと、安心して面接に行ける!
回答への「深堀り」も対策する
面接では表面的な質問だけでなく、一つひとつの事柄に対し深く掘り下げた質問を受けることが多いです。
決して圧をかけているのではなく、より正確に応募者を見極めるためのケースがほとんど。深く切り込まれても慌てず、落ち着いて回答してください。
- 具体的な業務スキル
- あなたの仕事への価値観
- 業務の向き合い方
焦って即答し的外れな受け答えをするのではなく、質問の意図を考えながら的確に回答しましょう。想定していない質問をされても困らないよう、自己分析を振り返っておくことも大切です。
面接の深堀り質問については、以下の記事で詳しく解説しています。
面接の最後に聞かれる「逆質問」を準備
面接の最後には、ほとんどの場合「何か質問はありますか?」と聞かれます。一般的には「逆質問」と言われており、以下の理由で質問していることが多いです。
- 認識のすり合わせ
- 疑問点の払拭
入社意欲を伝えたり、認識のズレが無いか確認したりするステップ。面接を切り上げる形式上の質問ではないと考えておきましょう。
意識してほしいのは、面接の限られた時間で「この点を特に確認したい」と伝えていること。面接時に浮かんだ疑問だけでなく、事前に質問内容を考えておくことをオススメします。
手帳にメモして持っていくのもアリ!
「逆質問」について詳しくは、以下の記事をお読みください。
自己分析と企業研究の再確認
面接を受ける前に、必ず自己分析と企業研究の内容を再確認しましょう。
- 転職の目的や価値観を振り返る
- どんな能力を発揮できるか探る
- どんな企業に応募しているのか見直す
自己分析ではご自身の特性や転職目的、「なぜこの職種、この会社か?」などの方針を振り返ってください。応募前に自己分析したものの、面接時には忘れてしまっているケースもあります。
応募書類を読み返し、自分がどんなことを書いたか見直すのも有効です。
企業研究では企業のビジネス内容だけでなく、求人背景や求める人物像、入社後に担当する役割なども確認しましょう。
「書類を送る前にチェックしたから大丈夫」と考えず、改めて確認する時間を設けてください。
模擬面接による練習
面接対策として、模擬面接による訓練が非常にオススメ。
模擬面接は、面接本番を意識した実践練習です。転職エージェントや支援者に面接官役をお願いし、求人情報に沿った質問を投げかけてもらいましょう。
受け答えがスムーズにできるかの確認だけでなく、面接の流れや雰囲気に「場馴れ」するためにも有効です。
模擬面接を通して改善点を振り返ることで、致命的なミスや過度な緊張を回避できます。
模擬面接で気を付けるポイント
模擬面接は、面接本番と同じくらいの緊張感を持って受けましょう。中途半端に流してしまったり、練習だからと手抜きしたりすると効果はありません。
- 受け答えの内容だけでなく、姿勢や表情、話し方にも気を配る
- 入室から退室まで一連の流れを通して行う
- 面接官役の人からフィードバックをもらい改善する
模擬面接では、本番同様に受け答えすることが何よりも重要。つまづきやすいポイントや準備が甘かった点は、真剣に面接しないと気付けないです。
面接本番でパフォーマンスを発揮するためにも、模擬面接は前向きに取り組んでください。
模擬面接の動画撮影と振り返り
模擬面接を受ける際はスマートフォンやパソコンの録画機能を使い、ご自身が面接を受けている姿を動画に残してください。
自分自身が面接を受けている姿を確認できるため、客観視が苦手な方でも改善点を見つけやすいでしょう。
- 面接中の姿勢や表情、身だしなみ
- 緊張しやすい場面と反応
- 喋り方や話す速度、声量、抑揚
動画撮影のデメリットは、自分の姿を客観視する恥ずかしさだけ。客観的に面接を振り返れるメリットの方が、はるかに大きいです。
自分や面接官役の人だけでなく、第三者に動画をみてもらい指摘を受けるのも有効です。
面接当日の準備
面接当日に備えて、必要なものを事前に準備してください。面接直前になって慌てるよりも、前もって用意しておく方が安全です。
- 適切な服装を用意する
- 必要な持ち物の確認
- 面接会場までの移動手段の確認
面接当日は朝から緊張してしまう人もいます。
面接準備は前日までに済ませておき、当日は「面接会場へ向かうだけ」になるまで整えておきましょう。
適切な服装を用意する
面接における服装は、第一印象を大きく左右する大事な要素。業界や企業の雰囲気に合わせた服装を選ぶように心がけましょう。
オフィスカジュアルが許容される場合もありますが、スーツを着るほうが無難。スーツを選ぶ際は、無地で黒、紺、グレーなどの定番色がオススメです。
シャツやブラウスは、白や淡い色を選び、清潔感のある印象を与えましょう。靴は革靴を用意し、前日までに磨いてください。
面接前日には、選んだ服装を実際に着用し、身だしなみを最終チェックしておきましょう。
必要な持ち物の確認
面接当日のトラブルを避けるために、必要な持ち物をリストアップし、あらかじめ準備しておきましょう。
- 履歴書・職務経歴書のコピー
- 筆記用具・メモ帳
- 会社の住所・連絡先・面接日時を書いたメモ
履歴書や職務経歴書などの応募書類は、提出前にコピーを取り手元に残しておいてください。面接は応募書類の中から質問されることが多いため、面接前に読み返しておくといいでしょう。
面接会場までの移動手段の確認
面接会場までの移動手段とルートを事前に確認し、時間に余裕を持って到着できるようにしましょう。
公共交通機関を利用する場合は、遅延や乗り換えに備えて余裕を持ったスケジュールを立ててください。
自動車で移動する場合は、駐車場の有無や、周辺の有料駐車場を確認しておきましょう。
また、当日の交通状況や天候にも注意し、遅刻のリスクを最小限に抑えるように心がけてください。可能であれば事前に一度、面接会場まで行ってみることをオススメします。
面接当日の流れとポイント
面接当日の流れと、気を付けるべきポイントについて紹介します。
- 障害者雇用の面接の流れ
- 面接当日の注意点
- 面接を受けるポイント
- 面接で困ったときの対処法
障害者雇用の面接の流れ
面接当日の流れと、注意すべきポイントを紹介します。面接は事前準備をしっかり済ませていれば、怖くありません。落ち着いて訪問し、丁寧な対応を心がけましょう。
障害者雇用の面接は、一般的な面接と同様の流れで進みます。異なる点は面接時の質問内容のみ。移動や受付に手助けが必要な方は、事前に伝えておくと好印象です。
面接会場に着いたら、まず受付で担当者に面接に来たことを伝えましょう。企業によっては別室に案内される場合もあるので、指示に従ってください。
面接官に呼ばれたら、ノックをしてから入室してください。入室後は「本日はよろしくお願いいたします」と挨拶を伝え、面接官の指示に従って着席します。
面接官からご自身のことについて、いくつかの質問を受けます。事前に想定される質問への回答を考えておくと、落ち着いて答えられるでしょう。想定外の質問が来ても落ち着いて、意図を理解し回答してください。
面接官からの質問がひと通り終わると、「何か質問はありますか?」と尋ねられることがあります。この機会に仕事内容や職場の環境などの質問を行い、疑問点を解消しておきましょう。
面接が終了したら面接官に感謝を伝え、「本日はありがとうございました」と挨拶をして退室します。退室時も丁寧な態度を心がけましょう。
面接の後は情報を整理する時間も確保しよう!
面接当日の注意点
面接当日の注意点について説明します。
面接はただの顔合わせではありません。面接の中でお互いが「この人(会社)は信用できるか?」を判断する場です。
最低限のビジネスマナーを守り、礼儀正しい態度で面接を受けましょう。思いがけないトラブルがあっても慌てないよう、余裕を持った行動をすることが大切です。
- 忘れ物がないか出発前に再確認
- 面接会場には早めに到着
- 面接前後は予定を入れずに集中
落ち着いて面接を受けるために、当日は余裕のある行動を!
忘れ物がないか出発前に再確認
面接当日は、何かと慌ただしくなりがちです。思ったよりも準備に手間取り、バタバタしてしまうかもしれません。
できるだけ面接に必要な道具は前日までに準備し、当日は余裕を持って出発できるよう整えておきましょう。
出発前は持ち物を再確認し、面接会場に着いてから困らないようにしてください。
- 履歴書・職務経歴書のコピー
- 筆記用具・メモ帳
- 会社の住所・連絡先・面接日時を書いたメモ
移動してから忘れ物に気づくともう遅い!事前準備が大切だよ。
面接会場には早めに到着
面接会場には、予定時間よりも早く到着しておくといいでしょう。面接時間ギリギリに行動すると、予期せぬトラブルで遅刻をするリスクがあります。
- 公共交通機関の遅延
- 道路の交通渋滞
- 急な体調不良
目安としては、面接開始時刻の30分前がオススメ。近くのカフェや公園など、静かな場所で気持ちを落ち着かせると安心できます。
仕事の場において、遅刻は厳禁。面接も仕事のひとつと捉え、余裕を持った移動をしましょう。
空いた時間は身だしなみの再確認がオススメ!
面接前後は予定を入れずに集中
面接当日は、できるだけ前後に予定を入れないでください。面接前の予定が長引いてしまうリスクや、移動に余裕がなくなり落ち着いて面接が受けられない可能性もあります。
面接に遅刻してしまうと、焦りから本来のパフォーマンスを出せなくなる場合もあるでしょう。本来受かるはずだった面接が、不採用となってしまうことも考えられます。
また面接の終了時間は予想できません。「1時間で終わるだろう」と次のスケジュールを入れてしまうと、長引いた際に落ち着いて面接が受けられないです。
面接の前後は予定を入れず、最低でも1~2時間の余白を残して予定を立てましょう。
面接は遅刻厳禁!前後も空けて余裕のある日程調整をしよう。
面接を受けるポイント
面接を受ける際のポイントと、注意点について紹介します。
面接はただ質問に回答する場ではありません。立ち振る舞いやコミュニケーションの取り方など、回答以外にも気を配りましょう。
- 面接官へ与える印象
- コミュニケーションの取り方
- 質問への適切な回答
面接官へ与える印象
障害者雇用の面接においても、第一印象は非常に重要。第一印象がその人のイメージとして残る「初頭効果」というものがあります。
初頭効果とは、初めての出会いや初めて知った言葉など、当初の刺激が、人間の印象形成に強い影響を与える心理効果です。
引用:聖泉大学
つまり、入室してから挨拶するまでの数秒間が最初の難関。面接官と顔を合わせた瞬間に、どんな印象を持たれるかが非常に大切です。
以下のポイントを押さえて、致命的なマイナスを受けないように気をつけましょう。
- 服装と身だしなみ
- 表情や姿勢
- 声の大きさ・抑揚
最初の数秒間で悪い印象を与えてしまったら、その後の面接で挽回するのは大変です。些細なことで面接を無駄にしないためにも、入室直後の印象は特に意識してください。
コミュニケーションの取り方
面接は私たち応募者の情報を、一方的に伝える場ではありません。企業側とそれぞれ、お互いを理解し合うためのコミュニケーションが大切です。
表情や視線など見た目や仕草による「視覚情報(Visual)」が人に与える影響度は55%、
声の大きさや話すスピードなどの「聴覚情報(Vocal)」は38%
会話そのものの内容である「言語情報(Verbal)」は7%
引用:パーソルグループ
簡単にまとめると、コミュニケーションの影響は93%が「何を伝えるか?」よりも「どう伝えるか?」にかかっています。
やりとりで損しないためにも以下のポイントを意識し、丁寧な対応を心がけましょう。
- ゆっくり、はっきりとした口調で話す
- 回答は結論を先に伝え、主張を理解してもらう
- 相づちを打ち、話を理解している姿勢を示す
質問への回答は、「ゆっくり、はっきり」を意識してください。とにかく喋ることに意識が向くと、早口になり面接官が理解できない場合もあります。
質問への回答は、まず結論を伝えることが大切。先に主張を伝えることで、その後に続く説明が理解しやすくなります。
面接官の話や質問には相づちを打ち、視覚的に「話を聞いていること」を理解してもらいましょう。
面接はあくまで双方向のコミュニケーション。ただ考えを喋るのではなく、相手に伝わるような工夫も必要です。
質問への適切な回答
面接官の質問に対し、適切な回答ができるかも気をつけてください。
面接では表面上の質問だけでなく、ひとつの出来事に対して深く掘り下げる質問もあります。
想定していなかった質問で慌ててしまい、質問意図から外れた回答をしてしまう可能性もあるでしょう。
また質問に対して一問一答で回答せず、具体的なエピソードや理由を添えることも有効。
例えば、「優先順位を意識しています。」とだけ答えるのではなく、以下のようにと具体例をセットで伝えましょう。
ただ端的に回答するよりも、面接官に理解されやすくなります。
面接の基本的な流れは、面接官の質問に対して回答する形で進みます。何を聞かれるかは企業や面接官次第ですが、多くは応募書類に書いた内容について質問されることが多いです。
- 志望動機
- 職務経歴
- 強みや弱み
- 障害特性
面接当日にぶっつけ本番で対応せず、事前に回答を考えたり、模擬面接を実施したりして対策しましょう。
面接で困ったときの対処法
面接では想定外の流れに戸惑ったり、予期せぬ出来事に頭が真っ白になったりと、さまざまな困りごとが発生します。
本記事ではその中でも特に多い、以下2つの困りごとと対処法について紹介します。
- 緊張してしまったとき
- 予想外の質問が来たとき
緊張してしまったとき
面接で緊張してしまうのは、誰にでもあることです。
大切なのは緊張しないことよりも、緊張が過ぎてパニックに陥るのを防ぐこと。一度パニックで頭が真っ白になると、面接中に平常心を取り戻すのは大変です。
自分が緊張していると気付いたら、以下の3つを試してみてください。
- 姿勢を正して深呼吸する
- 意識してゆっくり話す
- 「緊張している」と面接官に伝える
緊張に気付いたタイミングで、まずは改めて姿勢を正して大きく深呼吸しましょう。緊張状態では呼吸が浅くなるため、酸素をうまく取り入れられません。
一旦息をすべて吐き出し、その後に大きく息を吸うとうまく深呼吸ができます。
ドキドキしたら、意図的にしっかり吸ってしっかり吐くことで自律神経などに働きかけ「感情をある程度コントロールできる」(本間教授)。
引用:日本経済新聞
緊張すると早口になってしまう方は、口調に注意を向けてゆっくり話すと落ち着きます。ゆっくり話すためには、意識的に喋る内容へ「、」「。」を付け足してみてください。
句読点が”ブレーキ”の代わりになり、早口で喋りすぎることを防げます。
伝えたいという思いが強すぎたり、緊張したりしすぎても早口になりがちです。これって、少し自分を見失っている状態のときですね。
引用:ダイヤモンド・オンライン
どうしても緊張が強くて対処できない場合は、面接感に「実はかなり緊張しています」と伝えることも有効。
緊張していることを言葉にして伝えるだけで、案外すっきりして落ち着けるもの。緊張しながら無理に面接を進めるよりも、一旦落ち着きリカバリーした方が効果的な場合もあるでしょう。
「自分は緊張している」ということを相手に伝えてしまう方法です。「緊張しているので、もし声が聞き取りにくかったら言ってくださいね」などと自分の状態を言葉にして相手に伝えると、「いま緊張していること」が共通認識となり、必死に隠す必要がなくなります。
隠すことへの意識から解放されると、落ち着きも取り戻しやすくなります。
引用:全薬グループ
過去に展示会のプレゼンリハーサルを見る機会があり、司会役の人が「実は私、結構緊張しています」と台本に入れているのを見かけました。
面接で毎回「緊張している」と言うのは少し違うかもしれませんが、万が一のときは使ってみてください。
誰だって面接は緊張するよ!緊張そのものよりも、リカバリー方法を身に付けよう。
緊張そのものは、真剣に面接と向き合っている証拠。しかし緊張をリカバリーする方法がないと、仕事でもトラブル時に冷静さを取り戻せない人と思われる可能性もあります。
面接本番でマイナスイメージを持たれないために、模擬面接をうまく使って緊張と向き合いましょう。
緊張を一人で乗り越えられるスキルは、面接だけでなくその後の仕事にも役に立ちます。
予想外の質問が来たとき
面接ではどんな質問が来るか分かりません。事前準備で想定していない質問を受けることがよくあります。
その場で考えるのが苦手な人や、想定外のことで頭が真っ白になる人は、予想外の質問に対処するのは難しいもの。
以下のポイントを覚えておくと、冷静に乗り切ることが可能です。
- 質問と同じ言葉をオウム返しし、時間稼ぎしつつ考える
- 「予想外の質問でした、少し考えさせてください」と伝える
- 回答が難しい場合は素直に伝える
質問と同じ言葉をオウム返しで返答し、考える時間を稼ぐことが有効です。例えば、以下のような回答を試してください。
面接官:あなたにとって「働く」とはなんですか?
求職者:私にとって「働く」とは、ですね……。「働くとは」~~です。
奇をてらった質問をし、反応を見るような面接官もいます。その場合は以下の対応がオススメです。
面接官:あなたを「色」で例えたら何色になりますか?
求職者:「色」…ですか。それは予想外の質問でした。少し考えさせてください。
どうしても返答が思いつかない場合は、素直に難しいことを伝えてしまうのも一つの手です。あわせて「質問の意図」を聞き返してみると、答えやすくなる可能性もあります。
「想定しておらずお答えが難しいです。申し訳ありません。~~とのご質問ですが、その意図をお聞かせいただくことは可能でしょうか?」
予想外の質問は、思った以上にあります。困ったときでも冷静に対処できるよう、事前準備でさまざまな質問の回答を考えておくといいでしょう。
また自己分析をしっかり行い、自分のスキルや経験を整理しておくことも大切です。
突飛な質問を聞く面接官や、質問の意図が分からないケースなど、面接は「その場の対応スキル」が求められます。模擬面接を何度か行い「場馴れ」することも、面接対策として有効です。
障害者雇用の転職は場数を踏みにくい!だからこそ模擬面接がとっても大事。
面接後にやるべき振り返り
面接を受けたら、必ず「振り返り」の時間を設けましょう。
面接後は、次につなげるための重要な時間。重圧から解放された気持ちも分かりますが、以下2つは忘れずに実施してください。
- 面接内容をメモに残す
- 面接のフィードバックを確認
面接内容をメモに残す
面接が終わった直後の、記憶が鮮明なうちに面接内容をメモに残してください。選考が進んだ際の振り返りや、他の企業へ応募するときにも活躍します。
- 採用担当者の名前、役職などの基本情報
- 質問された内容と自分の回答
- うまく答えられなかった質問の内容
- 自分自身でうまくいったと思った点
面接日程が決まったら後ろの時間も確保しておき、30分程度の振り返り時間を設けましょう。近くのカフェや落ち着いて座れる場所などを、事前に探しておくこともオススメします。
面接後のメモを繰り返すことで、面接に対する自信を付けていくことにもつながります。
メモに残すことで「もし忘れても大丈夫」と安心できるよ。
面接のフィードバックを確認
転職エージェントを経由した面接の場合、アドバイザーが企業からフィードバックを受ける場合があります。
- 応募者の印象
- スキルの過不足
- 社風とのマッチング
直接応募と違い、転職エージェント経由の場合は選考通過(採用)・不採用の理由を開示するケースが多いです。
企業からのフィードバックは、直接応募では手に入らない貴重な情報。転職活動を有利に進めるためにも、面接後は転職エージェントにコンタクトを取りましょう。
志望度の高い求人であれば、合否が決まる前に転職エージェントへ意向を伝えて後押ししてもらうことも可能です。
企業側へアドバイザーからフォローが入ることにより、内定確率が上がる可能性もあります。転職エージェントとのコミュニケーションは密に取り、面接後はフィードバックを受けることをオススメします。
一次面接と二次面接(最終面接)の違い
面接は通常、複数回に分けて実施されます。それぞれ「一次面接」「二次面接」と呼ばれ、担当する面接官が異なるケースが多いです。
面接回 | 一次面接 | 二次面接 |
---|---|---|
面接官 | 人事担当者 現場担当 若手社員 | 人事責任者 役員クラス 社長 |
注目 | 実務能力や現場とのマッチ度合いを多く見られる | 仕事への価値観やポテンシャルを多く見られる |
選考が進み、合否の決まる面接が「最終面接」。障害者雇用の場合、二次面接が最終面接となるケースが多いです。
二次面接、最終面接と進んだ場合でも、不採用となる可能性は十分にあります。最後まで気を抜かず、誠実に対応しましょう。
また一次面接や二次面接の間に、実技試験や能力テストを実施する企業もあります。
一次面接より二次面接の方が、深く掘り下げる質問を多く聞かれるイメージ。
オンライン面接の特徴とポイント
近年では障害者雇用の転職面接でも、オンライン面接を実施する場合があります。
オンライン面接とは、直接企業へ訪問せず、ウェブ会議システムを使った面接方法。日程調整や会場確保がしやすく、オンライン面接を採用するケースは徐々に増えています。
オンライン面接は対面での面接と勝手が異なるため、特徴や注意点を押さえておきましょう。
- パソコンとインターネットが必須
- コミュニケーションが取りにくい
- カメラやマイクなどの環境で印象が変わる
オンライン面接の流れ自体は、通常の対面面接とほとんど変わりません。いきなり本番の面接を受けるのが不安な方は、模擬面接をオンラインで実施するなどの対策をオススメします。
オンラインだからこその大変さもある!
障害者向け転職エージェントを活用して面接を有利に
面接を有利に進めるには、障害者専門の転職エージェントを活用しましょう。転職エージェントは求人紹介だけでなく、面接でも以下のメリットがあります。
- 求人の募集背景を確認
- 模擬面接の実施
- 日程調整の代行
- 企業からのフィードバック収集
- 面接後の企業へのアプローチ
転職エージェント経由で採用が決まると、企業は転職エージェントに対し報酬を支払います。つまり障害者雇用にコストをかける、採用意欲の高い企業ばかりということ。
障害者向けの転職エージェントには、それぞれの障害に専門性のあるアドバイザーが在籍しています。それぞれの障害特性や事情に詳しいスタッフも多いため、専門的なサポートが受けられるでしょう。
障害者専門のオススメ転職エージェントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
障害者雇用の面接でよくある質問
障害者雇用の面接で、よくある質問をまとめました。
まとめ
本記事では障害者雇用における面接の、事前準備と当日のポイントについて紹介しました。
- 事前準備は「回答準備」「模擬面接」を重点的に
- 面接当日は余裕を持った行動でトラブルを避ける
- 面接後は必ず「振り返り」の時間を作る
面接対策で重要なのは、当日よりも面接の前後。前日までに対策をしっかり立てて、面接後は必ず「振り返り」を行ってください。
面接対策を丁寧に行うことで、面接への強さや評価を受ける不安が軽くなるでしょう。
本記事の内容を参考に、自信を持って面接に臨んでください。