- 任された仕事がこなせなくて落ち込む。
- 業務についていけなくてキツイ…
- どうやったらもっと働けるようになるの?
発達障害のある方のなかには、仕事で上手くいかず落ち込むケースが多いです。障害特性によって「できる」「できない」の差が激しく、理解や評価を得られないこともあるでしょう。
私も10回以上転職に失敗して、やっと今の会社に落ち着いたよ。
本記事では「仕事ができない」と悩む発達障害の方に向けて、筆者の事例も含めてよくある要因と対策を紹介します。
障害特性は自分の努力だけでは対処しきれません。むしろ十分に努力していても、なお不具合が起きている場合が多いです。
- 「このまま今の仕事を続けるのが不安」
- 「今が精一杯で将来のことまで考えられない」
そんな方は本記事を、ぜひ最後までお読みください。
発達障害のある人は仕事ができない不安を抱えやすい
発達障害のある人の多くは、職場でのパフォーマンスや能力について不安を抱えやすいです。単に仕事の成果だけでなく、コミュニケーションや日々の業務管理にも影響を及ぼすことがあります。
実績を作るより前に失敗体験が積み重なり、さらにパフォーマンスが落ちる悪循環に陥っているケースも少なくありません。
漠然と「自分は仕事ができないんだ」と思い詰めすぎず、具体的な要因を特定する「ボトルネックを探す作業」が必要です。
要因を特定することで、はじめて努力以外のアプローチが考えられます。
私は対面でのコミュニケーションが主な要因だったよ!
仕事ができないと感じる要因7つ
発達障害のある方が仕事でつまづきやすいポイントを7つ紹介します。似たような傾向があるか確認し、ひとつずつ対策を考えていきましょう。
- コミュニケーションがうまくいかない
- 仕事のペースについていけない
- 疲れやすい・体力が持たない
- タスクやスケジュールが管理できない
- ケアレスミスや失敗が多い
- 周囲と比べすぎて自信がない
要因が分からないと対策するのも難しい!
コミュニケーションがうまくいかない
職場でのコミュニケーションに苦手感を覚える人は多いです。業務の指示や理解だけでなく、雑談やちょっとした質問で違和感を覚える場合もあるでしょう。
- 業務指示の理解が難しい
- 突発的な発言や行動を取る
- 暗黙の了解が分からない
コミュニケーションがうまくいかないだけでなく、更に具体的なシチュエーションまで分解すると対策が取りやすいです。
コミュニケーションへの配慮だけでなく、「一人でできる仕事」へシフトすることで働きやすくなるケースもあります。
仕事のペースについていけない
仕事のペースが早く、理解や処理についていけないこともあります。指示が覚えきれなかったり、作業スピードが追いつかなかったりと悩む人は多いです。
- 一度に多くの指示が来て理解しきれない
- 他の人のペースに間に合わず慌てる
- 焦ってしまい更に遅れてしまう悪循環
仕事内容や職場の理解度によっては、「サボっている」と勘違いされる可能性もあります。
どんなときに「ついていけない」と感じるか、落ち着いて整理してみましょう。
疲れやすい・体力が持たない
終業まで体力が持たない、疲れやすいと感じる方は多いです。普段の業務でも負荷がかかりやすいため、すぐに疲れてしまうこともあるでしょう。
- 通勤するだけで疲れてしまう
- 常に頭の中が動いていて休まらない
- 音や匂いなどの感覚過敏で体力を消耗する
疲れやすい時間帯や、何に負荷がかかっているかを細かく分析してみましょう。少しの工夫や配慮でも、改善する場合があります。
また通勤や感覚過敏などの対策として、自宅で働く「在宅ワーク」も選択肢のひとつです。
タスクやスケジュールが管理できない
締め切りや効率的な業務処理など、タスク・スケジュール管理に課題を抱える方もいます。同時に複数のタスクに取り組むマルチタスクや、適切な納期設定が難しいこともあるでしょう。
- 細部にこだわり締め切りが間に合わない
- 待機中に他の業務を入れると焦る
- 段取りが組めず一日の後半で慌てる
仕事をするうえで、タスクやスケジュール管理は必要なスキル。管理ツールや仕組みをうまく使い、環境を整えることで改善できる可能性があります。
努力を重ねるだけでなく、外部の力に頼ることも試してみてください。
ケアレスミスや失敗が多い
細かいミスや抜け・漏れなど、小さな失敗を積み重ねてしまうケースが多いです。場合によっては、大きなトラブルに発展してしまうこともあります。
- 業務に集中しすぎて他の予定を忘れる
- 指示が整理できず聞き漏らしてしまう
- 入力・記載ミスや報告漏れなどの失敗
同じミスでも、失敗を引き起こした要因は個々に違う可能性があります。
失敗の要因を分析し、ひとつずつ対策を考えてください。上司のダブルチェックや指差し確認など、要因が分かれば仕組みで対策を取ることも可能です。
周囲と比べすぎて自信がない
同僚や他の社員と比べすぎてしまい、自信を失ってしまうことは少なくありません。自分の能力を正しく認識できず、成功体験を見逃してしまう場合もあるでしょう。
成功体験よりも失敗体験が目立ってしまうと、自己評価を大きく下げる結果にも繋がります。
- 上手くできたのに「もっと上手くできる」と追い込む
- 何かに秀でた人を「全てが強い人」だと思い込む
- ひとつの失敗から積み上げた経験を否定する
客観視が苦手で「自己分析ができない」と感じる方も多いです。第三者の意見や分析ツールなどを使い、客観的な視点を持つことが大切です。
働くことを諦める前にやってほしい対策3つ
仕事の困りごとによって、働くことを諦める前に自己努力以外の対策を試してほしいです。障害特性によっては、努力だけでは解決できない問題もあります。
適切に外部のサポートを受けながら、少しずつ柔軟に対応してください。
- 障害特性への配慮を受ける
- ツールや仕組みで改善を試す
- 苦手なことをメイン業務にしない
障害特性への配慮を受ける
障害特性への配慮を見直すことで、働きやすくなる可能性があります。障害者雇用で入社したにもかかわらず、「仕事への配慮がない」「特性への理解がない」と悩む方は少なくありません。
- 改めて障害特性の自己理解を深める
- 上司との面談機会を作る
- 希望する配慮を明確にする
配慮してほしいことを具体的にし、適切にサポートが受けられる体制を作りましょう。職場との間に支援者を入れることで、対策が進む可能性もあります。
また障害を開示せずクローズ就労をしている場合は、外部ツールや仕組みを取り入れた対策も検討してください。
ツールや仕組みで改善を試す
できない事に対し闇雲に努力するだけでなく、ツールや仕組みを活用することも有効です。苦手な分野を自動化、仕組み化することで、得意なことに注力できるようになります。
- タスク・スケジュールをツールで一括管理
- ダブルチェックや指差し確認で抜け・漏れ対策
- ノイズキャンセリングや生成AIなどを活用する
困りごとに向き合う姿勢は大切ですが、全てを真正面に受け止めると疲れてしまいます。一定の努力で解決しにくいことは、ツールや仕組みを使ってやり過ごすことも大切です。
苦手なことをメイン業務にしない
障害特性は業務によって、向き・不向きがあるのは仕方ありません。どうしても上手くいかないときは、業務変更などを相談するのも一つの手です。
場合によっては、ご自身の特性が業務に合っていないことすら、気付けていないこともあるでしょう。
- 対面での会話が苦手 ▶ チャットのやりとりメインの業務へ
- 大きな音を聞くと疲れる ▶ 静かな事務室内での業務へ
- マルチタスクが苦手 ▶ 一つの作業を黙々と進める業務へ
仕事と一言でいっても、業務内容によって環境や求められる能力は異なります。配置転換や異動によって、改善できる可能性もあります。
異動や担当変更ができない職場や、どうしても理解が得られない場合は、最終手段として転職も選択肢のひとつです。
些細なことでも「できる」「できた」に目を向ける
自分の「できない」だけでなく、些細なことでも「できる」に目を向けることが大切。
発達障害のある方は働くなかで、自分のできないことや失敗体験と直面しやすいです。もちろん「できない」の対策も必要ですが、それ以上に「できる・できた」などの成功体験も見つけてください。
できないことばかりに気を取られると、本来あったはずの「できる・できた」が見えなくなってしまいます。
自身の強みや能力は「できる」に隠れていることが多いです。自信を取り戻すためにも、まずは小さな経験でも「できる」に目を向けましょう。
過去の業務経験や実績を、客観的に「棚卸し」することが有効です。
できないことばかりに目を向けると立ち直れない!
筆者が働く中で失敗した事例
筆者が働いていく中で失敗した事例を、いくつか紹介します。
自分の向き・不向きに気付けていなかった
自分の向き・不向きに気付けず、能力の発揮しにくい仕事をしていた経験があります。
私は対面でのコミュニケーション、特に顔色を読んで話題や流れを変えることが苦手です。しかし当時は自身の苦手なことに気付かず、営業職を転々としていた時期がありました。
苦しい環境のなかで必死にやったものの、あまり成果に結びつかない時期を過ごしていました。
なんで他の人と同じようにできないんだろう?ってずっと悩んでたよ!
その後、細かい作業や淡々と仕事を進めることへの適性に気付き、今では事務職として多くの仕事を任されるようになっています。
どんな人にも向き・不向きはありますが、発達障害者はその差が大きいです。まずは自身の得意なことや苦手なことを分析し、得意なことを使って働くようにしましょう。
障害への配慮がないことで不満を抱える
障害者雇用の事務職として中小企業に入ったものの、配慮がなく不満を抱えていたことがありました。
- 障害特性が正しく職場に伝わっていなかった
- 中小企業の特性上、多種多様な仕事を振られる
- 企業側に配慮するためのリソースが少ない
入社前に障害特性として伝えていたことが、抽象的すぎて職場に伝わっていませんでした。「発達障害があります。」とだけ伝えていたため、どんな配慮が必要なのか企業側も対策が取れなかったのでしょう。
また中小企業では特定の業務に絞ると、量が少なすぎて暇になり「社内ニート化」する可能性もあります。そのため中小企業では、様々な種類の仕事を担当するケースは多いです。
中には苦手な対面コミュニケーションの仕事もあったため、「配慮されてない」と当時は感じました。
企業側は何を配慮すればいいか分からないパターンもある!
中小企業は少ない人手で幅広い業務を処理していくため、少数精鋭化しがち。そのため障害へ気を配る余裕もなく、結果として「配慮がない」と不満を抱える可能性があります。
障害への配慮を優先したい場合は、「大手企業」や「特例子会社」などの手厚い企業へ入社するといいでしょう。一方で中小企業では、様々な仕事にチャレンジできるメリットもあります。
自己理解の度合いや目的に合わせた企業選びは大切です。
仕事が続かない場合は就労支援に頼るのも手段の一つ
職場にうまく定着できず、仕事が続かない場合は就労支援に頼るのも有効です。
- 就労移行支援
- 障害者就業・生活支援センター
- 発達障害者支援センター
短期離職を繰り返している状態は、無理に次の職場へ転職するより「障害の自己理解」が必要かもしれません。
向き・不向きに気付けていない、消耗しすぎて考えが空回りしている可能性もあります。自分ひとりで解決しようとせず、障害者支援のサポートを利用しましょう。
まとめ|仕事ができないと諦める前に対策
本記事では発達障害のある方に向けて、仕事ができないときの対策について紹介しました。
- 「仕事ができない」と落ち込む主な要因
- 諦める前にやってほしい努力以外の対策
- 筆者の失敗事例3つ
「仕事ができない」「上手くいかない」と感じた時は、自分の努力だけでなくサポートや外部ツールなどの力を借りることも大切です。
特性上の困りごとは、努力だけで全て解決できるわけではありません。
一定は自力での解決を目指しつつ、外部の力に頼ることも検討してください。
もし働くことに自信を持てない場合は、就労移行支援で自己理解を深めることも有効です。
「仕事ができない」と挫折する前に、「できること」を探して取り組みましょう。