- 面接で自分の長所をうまく伝えられない
- 質問の意図が読めず、的外れな回答をしてしまう
- 面接官とのコミュニケーションがうまくいかない
転職活動のなかでも、苦手意識を持ちやすい面接。発達障害がある方にとって、面接は不安が大きいという方は多いです。
面接が怖くて、当日は朝から嫌な気持ちになったこともある!
本記事では発達障害がある方に向けて、面接に受からない・落ち続ける場合の対処法を5つ紹介します。
障害特性によって、面接がスムーズにいかないケースもあります。しかし、何も対策を取らずに面接を受け続けると、かえって自信を失ってしまうリスクもあるでしょう。
- 「面接を受けるのが怖くて逃げだしたくなる」
- 「自信がなくて面接官の質問に答えられるか不安」
そんな方は本記事を、ぜひ最後までお読みください。
発達障害の特性と転職面接の苦手感
発達障害がある方のなかには、「面接が苦手だ」と感じる人は少なくありません。
- その場で質問の意図を察して回答
- 非言語コミュニケーションの理解
- 面接の場や採用担当者に圧倒される
ご自身の特性と関連付けて、落ち込んでしまう人もいます。
面接は「非日常」です。社会人として第三者から評価される機会は、そんなに多くありません。発達障害の特性だから無理だと決めつけず、ひとつ一つの困りごとに対処していきましょう。
面接という特殊な状況で、具体的にどんなポイントで困りやすいか理解しておくことが大切です。
発達障害者が面接で困りやすいポイントと対処法
発達障害者が面接で直面しやすい課題と、具体的な対処法を5つ紹介します。
- 質問に対して一方的に喋りすぎてしまう
- 面接官の質問の意図が分かりにくい
- 特性や配慮をうまく伝えられない
- 自分の強みをうまくアピールできない
- 質問への返答が苦手、言葉が出てこない
質問に対して一方的に喋りすぎてしまう
面接官の質問に対して、一方的に喋り続けてしまう傾向のある人がいます。
例えば「前職での経験を教えてください」という質問に対し、担当範囲や実績だけでなく、細かなタスクや余計な脱線を繰り返してしまう場合もあるでしょう。
前職では主に〇〇という業務を担当しました。また週1回は△△と、××という業務も行っています。この××という業務は~~でして、社員全員で定期的に行う業務です。年に1回は□□業務もあります。□□は会社的に~~という立ち位置で、~~という役割がある行事です。□□は私も参加する機会が多く、特に??に思い入れがあります。??というのは……
なかには一つの質問に対し、それぞれ10分以上も話し続けてしまうケースもあります。
面接の時間は有限。一つの質問で時間を使いすぎると、必要な情報を伝えきれない場合もあるでしょう。
対策としては、以下3つをオススメします。
- 事前に「何を伝えて何を伝えないか」を決める
- 模擬面接でタイマーや画面録画を使い時間を計る
- 「深堀り質問待ち」を意識する
前職の業務内容や実務経験は、ほぼ必ず聞かれる質問。面接当日ではなく、事前に「何を伝えて何を伝えないか」を決めておきましょう。
あらかじめ想定質問と回答をリスト化しておくと、安心して面接を受けられます。
模擬面接でタイマーや画面録画を使い、回答ひとつに対してどれくらい話しているかを振り返るのも有効です。
ひとつの質問に対しての回答は、1分程度を目安に話すといいでしょう。あまり長すぎると面接官に意図が伝わらなかったり、まとまりがない説明になったりします。
質問内容によって回答の長さは変わるため、意識的に短く伝えるよう内容を調整してみてください。
話が長過ぎる、または短過ぎるとの印象を与えない回答時間は、一般的に1~2分程度とされています。
引用:アゲルキャリア
面接質問への回答は、「深堀り質問」を意識すると短くなりやすいです。
深堀り質問は私たちが回答した内容に対して、具体的に確認していく質問。実力や人柄を深く探り出すことが目的です。
追加で深堀り質問されることを前提にしておくと、ひとつ一つの質問への回答を簡潔にまとめられます。
気になったら「詳しく教えて」と言われるだろう、でOK!
面接官の質問の意図が分かりにくい
面接官の質問意図が分かりにくい、理解が難しいと感じる場合もあります。
- あいまいな表現で質問される
- 質問の背景を想像しにくい
- 質問が複雑で聞きたいことが分かりにくい
例えば「あなたの長所は何ですか?」という質問の背景には、「その長所をどのように仕事に活かせるか」を知りたいという意図があります。
しかし、意図が読めないと質問をそのまま受け取り、単に自分の性格や特性をそのまま伝えてしまうかもしれません。
- 遠慮なく質問の意図を聞き返す
- 勘違いしやすい質問は何を伝えるか考えておく
面接官の知りたいことを確実に答えるため、意図が分からなければ聞き返しても問題ありません。
「〇〇についての意味でよろしいでしょうか?」と前置きすることで、的外れな回答を避けられます。
また勘違いしやすい質問を想定しておき、事前に何を伝えるか決めておくのもいいでしょう。
模擬面接で詰まりやすい質問を見つけておけば、面接当日に慌てずに済みます。
準備なしで的外れなことを話して低評価はもったいない!
特性や配慮をうまく伝えられない
障害者雇用で転職活動をする場合は、障害特性や配慮について必ず聞かれます。
ご自身の障害特性について理解が浅く、伝え方を考えておかないと、適切に伝えるのは難しいです。
- 障害特性と困りごと
- 自己対処していること
- 企業に頼みたい配慮
どんなサポートがあれば能力を発揮できるのか、具体的に伝えられるよう考えておきましょう。
ポイントは「できない」ではなく「してほしい」で考えること。業務を行ううえで企業に何をしてほしいかの視点が大切です。
- できない→免除してほしい、補助がほしい
- 分からない→習得に時間がかかることの理解
- 難しい→理解しやすい方法で頼みたい
面接当日にぶっつけ本番で考えるのではなく、余裕をもって自己理解に時間を割くことをオススメします。
障害を開示せずに働く場合でも、得意ではないことについて聞かれることもあるでしょう。クローズ就労の方も、どのように回答するか準備しておく方が無難です。
配慮がうまく伝えられないと、企業側は「具体的に何をしたらいいの?」と困っちゃう!
自分の強みをうまくアピールできない
発達障害がある方のうち、ご自身の強みをうまくアピールできないと感じる人は多いです。
- 自信を失って「強みなんてない」と思っている
- 他の人と比べて「強みのうちに入らない」と感じる
- 強みよりも弱みに目が行き、アピールしにくい
過去の仕事で特性による失敗や、挫折経験があると、仕事に対して自己評価が下がりがち。自己評価が低い状態だと、面接官に対して良い自己アピールはしにくいです。
まずは自己分析を行い、ネガティブな面だけでなくポジティブな経験も探しましょう。
強みと弱みは、環境によって変化します。弱みだと思っていた性質が、職種や職場環境を変えることで活きる場合もあるでしょう。
「この職場や仕事内容に活きる性質」を強みとして提案することで、自信をもってアピールできるようになります。
自信をもってアピールするためにも、まずは自己分析!
質問への返答が苦手、言葉が出てこない
発達障害のある方のなかには、質問への返答自体が苦手という方もいます。状況や質問内容によっては、大きなストレスとなる場合もあるでしょう。
以下の対策を取ることで、面接への不安が改善しやすいです。
- 想定質問への回答を前もって準備しておく
- 困ったときは「少し考えさせてください」
- 模擬面接で「場慣れ」「言葉慣れ」する
どんなことを聞かれるか不安な方や、いつも受け答えに詰まってしまう方は、質問への回答を準備しておくといいでしょう。
質問と回答をセットでテンプレ化しておくことで、焦らずに受け答えできます。
また想定外の質問や、思考や内面を深掘る質問に対しては、面接官へ「少し考えさせてください」と伝えてもOK。即答できず焦ってしまっては、本来の能力をうまく伝えられません。
面接での受け答えに不安がある方は、模擬面接を受けて「場慣れ」「言葉慣れ」することも重要。
- 場慣れ:雰囲気やプレッシャー
- 言葉慣れ:伝える内容や発声、表現
面接は普段の生活と違い、第三者から社会人として評価される場。ピリッとした雰囲気でメンタルに負荷がかかります。
「場慣れ」で圧のかかる状態に慣れ、「言葉慣れ」で自己紹介や自己アピールを自信もって伝えられるようになりましょう。
受からない・落ちるときに見直す面接対策3つ
面接に受からない・落ちてしまうときに見直すポイントを3つ紹介します。
面接は多くの応募者から選ぶため、不採用となるのは仕方ありません。それでも可能な限り内定率を上げるため、自分でもできる対策はきっちりと行うことが大切です。
- 自己分析
- 質問の回答準備
- 模擬面接
「これだけやって落ちるなら縁がなかった」という気持ちで挑もう!
自己分析
面接で本来の能力を正しく伝えるには、まず自己分析が重要です。自己分析は「障害の特性」だけでなく、これまでのキャリア全体を整理してください。
- これまでの職歴・キャリアの棚卸し
- 強みと弱み、どんな環境で活きるか
- 障害特性の自己理解と求める配慮
- 転職の軸、何を求めて転職したいのか
自分の能力が活きる環境や失敗しやすい状況のほか、仕事への価値観や働くモチベーションの源泉を明確にしましょう。
「ただ今の職場が嫌だから転職したい」という応募者と比べて、魅力的なアピールができるようになります。
自己分析一人で考え込むだけでなく、ツールや第三者の意見も参考にしながら進めると効率的です。
面接でうまく言語化できない、何を話したらいいか分からない人は、自己分析からやり直してみることをオススメします。
質問の回答準備
面接でどんな質問をされるか不安な人は、面接によくある質問と回答を事前に準備しておきましょう。
面接の質問のほとんどは、どの企業でも聞かれる定型質問。事前に回答を考えたり、うまく伝える練習したりといった対策が可能です。
- あなた自身に関する質問
- 過去の経験に関する質問
- キャリアに関する質問
- 発達障害に関する質問
- メンタル面に関する質問
自信をもって面接を受けるためにも、想定される質問に対して「どう答えるか」をあらかじめ考えておいてください。
回答はSTAR法を意識すると、面接官が状況を理解しやすくなります。
STAR 面接メソッドは、仕事に関連した課題に対処できるか面接で聞かれた際、最適な回答を行うために役立つテクニックです。「STAR」は、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Results(結果)の頭文字を取ったもので、具体例が含まれた簡潔でわかりやすい回答を準備するのに効果的な方法です。
引用:indeed
頭の中で整理するだけでなく、Excelなどに書き出しておくことをオススメします。
模擬面接
面接への苦手意識がある方は、模擬面接を活用することで改善する可能性があります。
模擬面接は第三者に協力してもらい、実際の面接と同じような段取りで練習すること。面接の独特な雰囲気に慣れたり、回答に詰まる質問を見つけ出したりできます。
「模擬面接」とは、第三者に面接担当者の代わりをしてもらい、本番さながらの面接を行うことです。模擬面接を面接前に行っておくと、当日に緊張せず自分の魅力を伝えやすくなります。
引用:リクルートエージェント
慣れない面接では、ご自身の能力を十分に発揮できないケースが多いです。不安が自信の無さにつながり、結果として低評価を受けてしまうリスクもあります。
模擬面接中にスマホの録画機能などを使って撮影し、ご自身で面接中の姿を見直すとより効果的です。
ASDの筆者が実際に行った面接対策を紹介
ASDの筆者が転職活動をした際に、実際に行った面接対策を2つ紹介します。
- 質問回答シート
- 模擬面接の録画
転職と真剣に向き合うなら、やって損なし!
質問回答シート
面接で聞かれた質問に詰まらず答えるため、事前に予想される質問と回答をスプレッドシートで管理しました。
- 質問内容
- ジャンル
- 回答
- 想定される深堀り質問
聞かれやすいテンプレ質問に対して、自分がどのように回答するか文章でメモしていきます。
回答に対し面接官がどのような「深堀り質問」をするか、想像しておくと慌てずに済むでしょう。
スプレッドシートのテンプレートを配布するので、コピーして使ってみてください。
\ここを押してね!/
模擬面接の録画
模擬面接を受けた際、スマホのカメラやPCの録画機能を使って自分の姿を撮影しました。
確認したポイントは以下の通り。
- 表情や姿勢など見た目
- 喋り方や声のトーンなどの印象
- 回答に詰まった質問と、そのときの答え方
動画を見ながら改善点を探し、次の模擬面接では意識することを繰り返します。回を重ねるごとに修正されていくため、徐々に面接への自信もついていきます。
WEB面接を受ける方は上記の他に、撮影環境のチェックも行いましょう。
- 背景の映り込み
- 顔周りの明るさ
- 音声の聞こえやすさ
ライトやマイクなどの周辺機器を変えるだけで、印象が大きく変わることもあります。
一度にすべてを変えようとせず、段階的に改善を重ねることがポイント!
まとめ|面接に落ちて気力がなくなる前に対策を取る
本記事では発達障害がある転職希望者のために、面接が受からないときの対処法を紹介しました。
内定はただ手当たり次第に面接を繰り返せば、手に入るものではありません。面接本番だけでなく模擬面接も活用しながら、少しずつ改善を試していきましょう。
面接対策のポイントについては、以下の記事でまとめて紹介しています。こちらも合わせてお読みください。