- 仕事内容が簡単で、単調すぎてスキルがつかない
- 自分の能力を十分に発揮できていない気がする
- 後から入社した人に仕事を奪われるかも…と心配
障害者雇用で働く際、はじめに簡単な業務を任せる企業は多いです。安定就労や配慮の面など、スモールステップで始めた方がお互いにメリットもあるでしょう。
しかし業務に慣れてもずっと単純作業ばかりで、不安になりながら働いている人もいます。
まずは簡単な仕事を任せて様子見…からずっと変化なしのパターン。
本記事では単純作業ばかりで不安を抱えている障害者の方へ向けて、キャリアアップに向けた行動と不安解消のポイントを紹介します。
- 単純作業のメリット・デメリット
- 単純作業と感じるのは能力が身に付いた証拠
- 心の余裕はキャリアアップのチャンス
「単純作業ばかり」と感じる背景には、その仕事を簡単だと思えるほど能力がつき、心に余裕が生まれたのかもしれません。
- 「もっとやりがいのある仕事がしたい!」
- 「このまま単純作業ばかりでいいんだろうか…」
そんな方は本記事を、ぜひ最後までお読みください。
障害者雇用は単純作業ばかりと悩む人は多い
障害者雇用の多くは、単純作業を中心とした業務となりやすいです。
データ入力や書類整理、雑用などの、短時間で関連性のない仕事を受け持つケースもあるでしょう。
特に入社直後や勤怠が不安定な場合、負荷をかけるより安定就労を目指した方がいいという企業側の考えもあるようです。
一方で長く勤めて勤怠も安定しているものの、業務内容が変わらず簡単な作業しか割り振られないトラブルも。
- 会社の役に立てていない気がする
- もし退職することになっても実績がない
といった不安を抱えた方や、「もっと意義のある仕事がしたい」と不満を募らせている方もいます。
単純作業に嫌気がさしてしまい、最悪な場合は退職してしまうケースもあるでしょう。
私自身、前職は簡単な作業ばかりで嫌になった経験があるよ。
仕事が単純作業しかない場合のデメリット
受け持つ仕事が単純作業しかない場合、以下のデメリットがあります。
- 成長する機会が手に入りにくい
- 自己肯定感が下がってしまう
- 社内で孤立していると感じる
ネガティブな気持ちを放っておくのは危険!
成長する機会が手に入りにくい
担当する業務が単純作業ばかりだと、成長する機会が手に入りにくくなります。新しい技術やスキルを習得したり、目的をもって仕事に取り組んだりできず、モチベーションも湧きにくいです。
業務や職場環境に慣れても業務内容に変化がなければ、「自分はここにいて大丈夫だろうか?」と悩む場面もあるでしょう。
障害への配慮と、業務のステップアップは別物。定期的な目標設定の場を設けたり、支援者に介入してもらったりしながら、職場へアプローチしてください。
自己肯定感が下がってしまう
単純作業ばかりの環境では、自己肯定感が低下してしまう可能性が高くなります。
- 自分の能力が活かせていないと感じる
- 新人に仕事が奪われるかもと不安になる
- これ以上の仕事ができないと思い込む
仕事へのモチベーションやキャリアに対する不安だけでなく、メンタルの悪化や職場での孤立感などにも影響。前向きに仕事へ取り組めず、職場からの評価が悪くなる悪循環にもなりかねません。
毎日同じ作業では仕事の成果が見えにくいため、達成感を得られにくい問題もあります。業務が自己完結しているため、同僚と接点を持ちにくい側面もあるでしょう。
社内で孤立していると感じる
他の社員が私たちとどう接したらいいか分からず、社内で孤立していると感じるリスクがあります。
単純作業を切り分けるだけだと、チームで協力して目標達成を目指す機会も限られがち。業務内・業務外で他者とのコミュニケーション機会が少なく、不安になるケースもあるでしょう。
- モチベーションがなくなる
- 職場への帰属意識の低下
- 将来像が見えない不安
孤立によってこの職場で頑張るという意欲を失うと、働く意味を見出せなくなってしまいます。
障害特性を理解した上司や先輩社員に相談役を担ってもらい、定期的なコミュニケーション機会を作ることをオススメします。
単純作業は低エネルギーで無理なく働けることがメリット
単純作業にはデメリットもありますが、低エネルギーで無理なく働けるというメリットもあります。
- 精神的な負担が少なく、体調管理をしやすい
- 障害特性に合わせた作業環境を整えやすい
- 急な体調不良でもバックアップしやすい
仕事に対して100%の力で向き合わなくても、最低限の業務をこなせることが利点。余暇の充実や、スキルアップにも挑戦しやすいでしょう。
「仕事は仕事」と割り切って趣味を楽しんだり、副業に挑戦してみたりするのも有効です。
仕事に体力を削られにくいから、他のことにエネルギーを使いやすい!
単純作業と感じるのは能力が向上した証拠
仕事が単純作業ばかりだと感じるようになったのは、あなたの能力が向上した証拠かもしれません。「キャリアアップのチャンス」と気づく、重要なきっかけとなり得ます。
- 仕事に慣れて心の余裕ができた
- 作業効率が上がり成長意欲が湧いた
- 得意な領域や強みが見えてきた
違和感を前向きに捉え直してみよう!
仕事に慣れて心の余裕ができた
単純作業しかないと思った場合、職場や仕事に慣れて心の余裕ができた可能性があります。
入社したての頃は緊張や不安を感じていた業務も、繰り返すうちに楽々とこなせるようになるもの。
- ミスの回数が減った
- 効率よく処理できる
- 前後工程に気を配れる
データ入力の仕事であれば、最初はミスしないよう慎重になっていたものが、徐々にテンポよく処理できるようになるでしょう。
心に余裕ができると、仕事の質も向上します。余裕があるからこそ丁寧な作業ができ、細かい改善も見つけやすいです。
今までは処理するのに必死だった業務が、いつの間にか「単純作業」と思えるようになった可能性があります。
作業効率が上がり成長意欲が湧いた
作業効率が上がり、余裕を持てたことで「他の業務もやってみたい」と考えることもあるでしょう。
作業スピードが上がれば、同じ業務内容をより早く処理できるもの。余った時間で「他にも仕事を任せてもらえないか?」と思う人は多いです。
余った時間をただ過ごすより、スキルアップや他の仕事に着手してみたいと感じるのは自然です。
仕事に対して前向きな姿勢を持ったことから来る、単純作業しかないことへの違和感かもしれません。
得意な領域や強みが見えてきた
仕事を続けていくうちに、自分の得意な業務内容や「強み」が見えてくることがあります。
例えば、以下のようなケース。
- 同じ作業を繰り返していたら、自然と改善アイデアを思いつく
- 細かなミスや違いに気付きやすく、後工程の手戻りが少ない
- イレギュラー対応が発生しても、難なくこなせる
例えば「製品の検品」という一つの業務のなかで、検品ミスが極端に少なかったり、処理スピードが速かったりと、たとえ同じ作業でも人によって動きが変わります。
自分の仕事ぶりを客観視していくうちに、向き・不向きの気付きがあるでしょう。最初は小さな差かもしれませんが、少しずつ伸ばしていけば大きな強みになる可能性があります。
心の余裕はキャリアアップの機会
業務の慣れによる心の余裕は、キャリアアップを目指す絶好の機会。余裕がなければ、自己成長を考えるのは難しいです。
仕事が単純作業ばかりだと思えるうちに、キャリアアップを見越した「将来への種まき」をオススメします。
- 資格勉強やITツールの習得
- 業務関連の知識を勉強
- 副業や転職などの市場調査
心に余裕があれば、長期的な目線で物事を考えやすくなります。目の前の作業に追われず、将来を見越して先手を打つことも可能になるでしょう。
「障害者雇用は単純作業しかないから先が不安」という方は、業務から一歩離れて次の行動を考えてみてください。
余裕があるときこそ、長期視点で考えてみよう!
キャリアアップにオススメな行動3つ
「単純作業ばかり」という状態からキャリアアップを目指すため、オススメな行動を3つ紹介します。
- 今抱えている業務を深く掘り下げる
- 資格を取得して職場にアピールする
- 自己分析をして強みを明確にする
現状を打破するための「武器」が必要。
今抱えている業務を深く掘り下げる
単純作業に見える仕事でも、深く掘り下げることで新たな発見があります。
- 作業の効率化・改善
- 前後工程とのつながり
- 作業の数値化や結果の記録
手軽に実践しやすいのは、作業内容の効率を考えたり、改善したりすること。一つ一つの改善は小さくとも、数を重ねたら目に見える変化があります。
自分が担当している作業の、前後を意識してみるのもオススメです。たとえ単純作業だとしても、渡される前や完了した後に別の業務があるもの。
前後の業務を観察して受け渡しがスムーズになるよう調整したり、前後作業もできそうなら「やってみたい!」とお願いしてみたり。視点を前後に動かすことで、業務範囲を広げられるチャンスがあります。
自分が受け持っている作業内容を、数値で管理してみるのも有効。一日に何件処理をした、ひとつ完了するまで何分かかった等、数字に置き換えることでご自身の変化にも気付けるでしょう。
効率化や改善を考えるうえでも、当たりを見つけやすくなります。
資格を取得して職場にアピールする
キャリアアップを目指すうえで、分かりやすいアピール方法は資格の取得です。
業務に関連する資格を勉強することで、以下のメリットがあります。
- 専門知識やスキルの証明になる
- 資格に関連する業務を任せやすい
- 自信やモチベーションの向上につながる
資格は合格による資格者証だけでなく、たとえ勉強中でも知識が手に入ります。万が一合格できなくても、頭に入れた知識は仕事の役に立つでしょう。
また資格を取っても職場に変化がない場合、転職活動の「武器」としても有効です。
自己分析をして強みを明確にする
障害者雇用においても、一般と同様に自己分析は大切です。客観的に仕事を振り返り、自分にとっての仕事の価値観を見つけてください。
- これまでの仕事内容を振り返る
- 自分の「強みと弱み」に気付く
- 障害特性との付き合い方を考える
- 自分にとっての「仕事の軸」を見つける
働くうえでどんなことを大事にしたいか?こうなりたいという目指す姿はあるか?など、頭をひねるには時間や心の余裕が必要です。
場合によっては今後の働き方やキャリアに大きく影響するため、不安や不満を抱えているときこそ自己分析を実施してください。
現職のキャリアに見切りをつけて転職も手段の一つ
いくら頑張っても単純作業から抜け出せない場合、見切りをつけて転職するのも手段の一つ。障害者雇用といっても、役割や成長機会は企業によって大きく異なります。
単純作業しかなくて暇すぎると感じるなら、他社と比較してみることも大切です。
- 役割や成長機会は企業によって異なる
- 障害者雇用のキャリアアップが難しい企業もある
- キャリア相談は転職エージェントがオススメ
単純作業ばかりで仕事が嫌になるのはもったいない!
役割や成長機会は企業によって異なる
障害者雇用の役割や成長機会は、所属する企業によって大きく異なります。企業の価値観や組織文化、企業規模など、さまざまな要因があるでしょう。
- 障害者雇用の方針や既存社員の実績
- 割り振られた職域と求められる能力
- 上司や人事の「障害者」への期待値
障害者雇用であっても段階的なステップを用意している企業もあれば、ごく一部の業務を切り出すために障害者を雇用する企業もあります。
特に後者の企業であれば、個人でいくら頑張っても変化を起こすことは難しいです。
任された業務をこなしても評価が変わらない、業務内容に変化がないといった場合は、他社との比較を検討してください。
障害者雇用のキャリアアップが難しい企業もある
残念ながら障害者雇用において、キャリアアップが難しい企業はあります。
私自身、過去には「正社員登用がある」と言われて入社したものの、無かったことにされた経験がありました。
- 法定雇用率の達成のみを目的とした姿勢
- 社内環境・制度の整備が整っていない
- 明確な「役割の線引き」を行っている
社内で成果を出して意識改革を促すのは手段である一方、会社組織や上層部の価値観を変えるのは時間も労力も発生します。
今できることをやったうえで、手ごたえがない場合は「評価をされやすい環境」に移るのも戦略のうち。限りある時間や労力といったリソースは、より効果的なところに使いましょう。
キャリア相談は転職エージェントがオススメ
障害者雇用のキャリアを相談するなら、障害者専門の転職エージェントを利用してください。
働きながらの転職活動は、時間管理やモチベーション維持などの面で非常に大変。新卒の就活と違い、転職では基本的に一人で動くことになります。
キャリア選択や転職の方針など、「本当にこれでいいんだろうか?」と不安になる場合もあるでしょう。
転職エージェントはキャリアへの不安を話したり、現職への不満を解決しゴール設定を行う「相談役」としても有効です。
キャリア相談から内定後まで幅広くサポートしてくれるため、働きながら次の職場を探す際の心強い味方になります。
現職に見切りをつけたい、このままでは単純作業から抜け出せないという方は、ぜひ転職エージェントを活用してみてください。
まとめ|単純作業しかないと感じたらキャリアアップの機会
本記事では、障害者雇用のキャリアで悩みがちな「単純作業ばかり」という問題と、解決策について紹介しました。
- 単純作業のメリットとデメリット
- 「単純作業」と感じたら能力がついた証拠
- 現職でのキャリアアップや見切りの付け方
たとえ「単純作業」だとしても、突き詰めれば面白味を感じる部分が見つかる可能性はあります。心の余裕があるうちに、将来への種まきをしておくといいでしょう。
現職で仕事内容の改善が見込めない場合、見切りをつけて転職活動を行うのも有効です。
職場での状況や気持ちを整理し、よりご自身にとってメリットのある選択をしてください。