- 仕事をさぼっていると周囲から誤解されていそう
- 努力しても周囲の期待に応えられない気がしてる
- 手持ち無沙汰で仕事中に何をしたらいいか分からない
発達障害がある方の中には、このような不安を抱えながら日々の仕事に向き合っている人もいます。
仕事内容と障害特性が合わない場合や、過去の失敗体験から自信を失ってる場合もあるでしょう。
本人は内心、必死だったりする。
この記事では、発達障害者が「さぼっている」と誤解されやすい背景や、パフォーマンス維持が難しい理由について解説します。
仕事が進まずサボって見える背景には、さまざまな要因が絡み合っています。努力不足だけでなく、適切な配慮やサポートが必要な場合もあるでしょう。
- 「仕事が思うように進まなくて困ってる」
- 「周囲からどう思われてるか不安で仕方ない」
そんな方は本記事を、ぜひ最後までお読みください。
発達障害者の「さぼり」に見える行動
発達障害がある方のなかには、一見さぼっているように見える行動をとることがあります。
しかし単なる「さぼり」だけでなく、発達障害の特性による不具合の可能性も考えられるでしょう。
仕事のパフォーマンス低下以外にも、周囲との誤解を生む原因となることもあります。
また障害者雇用で働いている場合、極端な業務量の少なさによる手持ち無沙汰も「さぼり」と思われる要因のひとつです。
「さぼる」と誤解されやすい発達障害者の特性
「さぼり」と誤解されやすい、発達障害者の特性についての事例を紹介します。
合理的配慮の一環として採用された有効な対処法を、事情を知らない社員から「さぼってる」と勘違いされるケースは少なくありません。
- 集中力の波と休憩
- 感覚過敏と職場環境
- タスク管理と優先順位
発達障害の特性は人によってさまざまで、付き合い方も個人差があります。仕事ができないと判断せず、まずは様子見してください。
「発達障害の特性=さぼり」ではない!
集中力の波と休憩
発達障害がある人は、集中力の波が大きく変動するケースがあります。ひとつの物事にのめり込む「過集中」がある人や、連想ゲームのように思考がコロコロと変わる人もいるでしょう。
この特性によって疲れやすく、適度に休憩を取りながら仕事に取り組む方は多いです。
しかし事情を知らない外部から見たら、「よく休憩してる人」と受け取られかねません。
感覚過敏と職場環境
発達障害者の中には、感覚過敏の特性を持つ人がいます。
感覚過敏は、通常なら気にならない程度の刺激でも、過剰に反応してしまう特性です。
この特性が職場環境と相まって、「さぼっている」という誤解を生む可能性があります。
- 蛍光灯の明かりがまぶしすぎる
- 他の社員の話し声が気になり集中できない
- エアコンの風が当たるのが気になる
対策としてノイズキャンセリング機能のあるヘッドホンを付けたり、ときどき別室で作業する人もいるでしょう。
しかし、見方が変われば「遊んでいる」と勘違いされる場合があります。
タスク管理と優先順位
発達障害者にとって、タスク管理と優先順位付けは大きな課題です。
急な仕事の差し込みに戸惑う、時間の見積もりが合わず予定に間に合わないなどの不具合が生じやすいでしょう。
細部にこだわってしまい、全体の進捗が遅れるといったケースもあります。
当事者がそれぞれ対策すべき問題ですが、一緒に働く人にとって「職務怠慢」と受け取られる可能性があります。
さぼっているように見える状況
発達障害者が仕事をさぼっているように見える、具体的な状況について事例を紹介します。
第三者から見たら「さぼり」のように見えますが、当事者にとっては「困り」の可能性もあるでしょう。
- 業務の進め方が分からず止まっている
- コミュニケーションが取りにくい
- 担当業務が少なく暇を持て余している
「困り」の発信は大事!
業務の進め方が分からず止まっている
業務指示や手順が把握しきれず、作業に着手できないで止まっていることがあります。
具体的には、以下の状況が起こりがちです。
- 指示を理解しきれなかった
- 優先順位がうまく付けられない
- 業務の細部が気になり進捗が滞る
例えば「資料をまとめて」と抽象的な指示をうけた場合、どの情報をどんな形に整理するのか悩んでしまったり、作業中に別の指示を受け困ったりするケースがあるでしょう。
たとえ単純作業の業務だとしても、予想外のところでつまづくこともあります。
「コミュニケーションの不具合」と組み合わさることで、相談もできず右往左往するだけとなるケースも少なくありません。
コミュニケーションが取りにくい
発達障害者にとって「コミュニケーション」は、働くうえでの障壁となりやすいです。
- 何を相談すればいいのか、まとまらない
- 相手の状況を察知することが難しい
- 話しているうちに話題が反れてしまう
過去にコミュニケーションで失敗した経験から、苦手意識を抱えてしまい、さらに会話を避けてしまうケースもあります。
分からないことがあっても「迷惑をかけたくない」と思い、一人で悩んでしまうときもあるでしょう。
担当業務が少なく暇を持て余している
障害者雇用で働いている場合、そもそもの担当業務が少ないケースも「さぼっている」と勘違いされやすいです。
- あまり負荷をかけられないから
- 何を任せたらいいか分からない
- うまく業務が切り出せなかった
障害特性や能力を会社側が理解しきれず、適切な仕事を割り振れない場合は多いです。
結果として手持ち無沙汰となり、他の社員から見たら「さぼっている」と見える可能性があるでしょう。
障害特性と業務の相性が悪い可能性もある
発達障害者が「さぼっている」ように見える場合、障害特性と業務の相性が悪いことが原因かもしれません。
- コミュニケーションの苦手な人が対人中心の仕事をする
- 時間管理でミスしやすい人が短納期の業務を複数抱える
- 過集中しやすい人がマルチタスクな役割の仕事に就く
「障害特性だから…」と、職場からの配慮に頼り切るのは限界があります。
特性を自己理解し、影響が出にくい仕事に就くのも、立派な戦略のひとつ。苦手なことを克服するよりも、「苦手ではない」ことを伸ばして得意分野にする方が効率的です。
ご自身の性格や特性を整理し、「向き・不向き」と向き合う時間を作ることをオススメします。
発達障害者本人のための対策
発達障害者が「さぼっている」と誤解されないよう、ご自身で実践できる対策があります。
職場での生産性向上や、人間関係を作るうえでも大切なので、少しずつ着手していきましょう。
- 自己肯定感・自己効力感を高める
- 時間管理・タスク管理の習得
- 職場との適切な相談
勘違いを防ぐだけじゃなく、安定して働くためにも大切!
自己肯定感・自己効力感を高める
自分の能力を客観的に知るため、自己肯定感と自己効力感を高めることが大切です。
この2つが低いと、自分のしている仕事に自信を持てず、「さぼりと思われていないか」と不安になることがあるでしょう。
- 自己肯定感:自分の存在を受け入れる
- 自己効力感:自分の力・能力を信じる
自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れること。発達障害があることも含め「それが自分である」と理解することが大切です。
大人になってから発達障害と診断された方は、診断を受ける前・受けた後で自分への印象が変わる可能性があります。障害や特性を受け入れるため、時間をかけて発達障害と向き合うことをオススメします。
一方で自己効力感とは、「自分ならできる」と信じること。何ができて何が苦手なのか?を理解し、「できること」を一つずつ積み上げていくことが大切です。
人間は失敗したことに目を向けがちな生き物。ミスが増えていくと、ネガティブになりやすいです。場合によっては、「自分には何もできない」と感じてしまう人もいるでしょう。
第三者の手も借りながら、少しずつ「できること」を積み上げ、自信をつけていくことが大切です。
時間管理・タスク管理の習得
さぼりと誤解されやすい原因の一つに、時間管理やタスク管理のスキル不足があります。
仕事の進捗管理がうまくいかないと、第三者から見て「さぼってて進んでいない」と思われるリスクがあるでしょう。
- ツールを使って業務のタスクを管理
- 納期の確認や進捗の報告を徹底する
- 優先順位付けが苦手なら上司に相談
仕事を着実に進めていくスキルは、職場での信頼につながります。新しい仕事を任せてもらえるようになり、手持ち無沙汰で暇している印象がなくなります。
「仕事を任せてもらえるようになった」と、自己効力感の増加にもつながるでしょう。
どんな仕事にも、時間管理やタスク管理は必須スキルです。自分にあったやり方を見つけ、少しずつ改善していきましょう。
職場との適切な相談
発達障害を持つ方が「さぼっている」という誤解を避けるためには、職場との適切な相談が不可欠です。
自身の障害特性を理解したうえで、上司や人事担当者に必要な情報を開示し、相談しましょう。
- 定期的な面談時間の設定
- 仕事の進捗状況や課題の報告
- 働き方についてフィードバックを受ける
- 困りごとや仕事上のトラブルの共有
- 日報や管理ツールを使った成果の可視化
「さぼっている」は仕事で密接に関わる上司、同僚が受ける印象によって変わります。障害特性を認知してもらったり、対策を共有したりすることで、印象が180度変わる場合もあるでしょう。
ご自身だけで理解してもらうのが難しいときは、障害者の就労支援機関に手助けしてもらうことも有効です。
- ハローワーク専門援助部門
- 発達障害者支援センター
- 障害者就業・生活支援センター
発達障害者の「さぼり」は努力不足だけではない
本記事では発達障害のある方と「さぼり」や誤解について、具体的なシーンも交えて紹介しました。
- 障害特性によって誤解を生むケースがある
- 仕事量の少なさによる「暇」と第三者視点
- 自分でもできる対策と、職場への相談
発達障害者と「さぼり」は、ご自身の努力だけでは解決しきれないケースもあります。
職場環境や仕事の割り振りなど、上司や支援者も巻き込んだ相談が必要になるかもしれません。